師弟関係-男主- (ページ36)

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Reunion.ⅢⅩⅤ ページ36

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戻れない、と知ったのは。

『…判ってんだろ？──なァ、過ちは戻らねぇって事を』

声が響いたから。

否、『戻るな』と認知したのは。

『…何時まで留まってる心算だよ、手前はよォ』

それが最善であると自負していたから。

だった筈…なのに、如何して。

「───違！僕…はっ！！」

声を荒げて、目を醒ます。

躰の震えが一段と強まっている事など知らない。

兎に角、目を醒ます。

変な、厭な汗が止まらない。

辺りを見渡す。

_____一人の部下と目が合ったのは必然だろうか。

それとも故意と云うやつなのだろうか。

判らない、と感じ乍も口を開こうとした瞬間。

「体調は如何ですか？だいぶ魘されていましたが……」

自分ではない、部下が口を開いたのだった。

「…えっ…？あ…嗚呼…うん……」

会話が乏し過ぎる。

これでは成立しない。

その思いが強さを増してゆくに連れ、焦りと云う感情が募り、溢れかえる。

「…大丈夫……そうですね。良かったです」

だが、その思いは部下には届いていなかったらしく、清々しい笑みで返される羽目となってしまった。

「…そう云えば、先程捕らえた少年…中島敦さんですが──」

そして甲斐も無くにして崩される策を、黙って見ているだ何て行為は出来なかった。

「！何で…彼処は駄目だと云っただろう……？如何してだい？ねぇ……如何して…」

浅はかである。そう痛感してしまう。…厭と云う程に。

「……申し訳御座いません。」

頭を下げられる。

…その行為を姿を見るのが苦痛で仕方が無い、そんな自分が居る。

…何故なら、居たたまれない気分へと誘われてしまい、挙げ句の果てには憐憫の情が沸き兼ねないからであった。

「…良いや、君の判断の方が正しいのだから、そんな風に卑下しないで呉れ給え。

──何て、僕が云えた道理じゃ無いんだけれどね…？ふふっ」

一振り、静かなる沈黙を持ってして挨拶を交わす____それは謝罪を表している…事を知らないのだろう。と胸に秘め乍、部下の方を向いて云った。

「それじゃあ、一寸行って来るよ。」

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