師弟関係-男主- (ページ12)

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Reunion.ⅩⅠ ページ12

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「…えっ？あ…まぁ、それは救出した訳ですし……」

そう、理由は共有れ、敦は男を川の中から引き摺り上げ、介抱して遣った。

それは紛れもない事実である。

「……ふふっ、矢張、気に成ってしまっている様だねぇ？」

先刻と何ひとつ変わらぬ顔でそう声を発する男を、敦は眉を潜めつつ、見据えていた。

「はっ──ええ……」

思わず、肯定の意を示しそうになったが、何とか回避し。

"ええ"____…と。

社会人らしい立ち振る舞い…──所謂、『丁寧語』と呼ばれる──をした。

のだった。

…"だった"と云う言葉は決して言及しては為らない。

「……そんなに畏まった返事をしなくとも良いんだよ。」

何故なら───男が覆い被さる樹葉のような、そんな声で言葉を被せて来た所為で最後迄、云い終わる事が出来なかったからである。

「いえ…その……でもー…」

屹度、しなくとも。

見て取れる範囲であっても、確実に自分より目上の方だろう。と、瞬時では無いのだが数分経ってから思った。

思ったから、敬語を使用したのだ。

…多分、屹度、間違ってはいない筈だ。

そう自分──己に強く、云い聞かせる。

そうする事に因って安心感足るものを得たかったからかも知れない。

と、感じながら…。

再び、強く、豪速球とも呼ばれるであろう勢いで下へ俯いてしまったのは云う迄でもない。

「………何だか敦君を見詰めて居ると自分を見ている様で、変な気分に誘われて来るよ…。

何で何だろうね？

──！……嗚呼、そうか。

そう云う事か。屹度…」

──屹度、似ているから何だ。敦君と僕は。

……だから変な気分に。

「誘われてしまったんだろうなぁ、…うん。

ふふっ…でも──…何だろう、矢張、悪い気分とは程遠い気がして為らないのは。」

"如何して何だろうか。"

敦が自責の念を抱いている事を、それとなくではあるが、感じている様子の男は。

誰に云うでもなく、呟き、次いでに疑問を口走りながら。

敦の胸板を、肩を、背を。

「──え…？」

「……御…済まない…ね。
少しだけ、…良いや、ほんの数秒で善い。」

_____此の儘で居させて呉れないかい？

優しく包み込むように抱き締め___…抱擁し出すのであった。

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