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Aside
その夜
鳴「Aってさー、一也のこと好きでしょ」
どこか遠くを見つめる鳴が独り言のように呟いた。
A「えっ?」
鳴「バレてないとでも思った?
俺がAのことわからないわけないでしょ。何年バッテリー組んでたと思ってんの?」
A「…うん、」
"何年バッテリー組んでたと思ってんの?"
その言葉が温かくも、トゲのように刺さった。
…私だって、鳴の気持ちに気付いてるんだよ。
どーせ、自分の気持ち抑えて私の背中押してくれようとしてるんだよね。
鳴「告りなよ」
A「はっ?」
いきなりの発言に驚きを隠せない私。
鳴「Aが告って、振るやつなんて俺が許さねぇし、絶対失敗なんてしないよ」
A「でも…!一也が何考えてるかわかんないし、成功するなんて確率ひくすぎるでしょ…」
鳴「成功率が全てなわけ?俺は告白ってのは自分の気持ち伝えられるかどうかだと思うけど?」
A「そんなの…」
鳴には言われたくないよ。そう言おうとしたけど、言えなかった。
あまりにも鳴が悲しそうな顔してたから。
鳴「なんてねー、俺が言えたこっちゃないね」
はにかむように笑ってみせる鳴。
鳴「Aなら大丈夫だよ。俺が保証するし」
A「鳴…」
鳴「絶対大丈夫!頑張れよ!」
今度は、いつも通りの少年のような笑顔だった。
夏の夜の湿った空気が私と鳴のモヤモヤな気持ちを象徴しているかのようだった。
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作者名:ふー | 作成日時:2018年7月25日 7時