その50 ページ4
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目が覚めると彼が驚いた顔で私を見ていた。
次第に彼の目から涙があふれんばかりに零れ落ちた。
ああ,心配させてたんだな…という後悔と,
自分のためにここまで涙してくれる愛おしさ。
握られる左手から感じる降 谷の温もり。
眠っている間も降 谷がここまで導いてくれたのかな、なんて。
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「…降 谷。」
彼が涙を流してから十数分。
降 谷は私を抱きしめて離さない。
首筋に顔を埋めて,私の後頭部を片手で添える。
降 谷の温もりが直に伝わってきて,正直心臓に悪いのだ。
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「……ね、離して。」
「無理だ。」
このやり取りも数回行った。
一向に話す気配がないのだ。
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よほど心配させてしまったのだなと改めて思う。
私は,ギブスの付いていない左手で彼の後頭部を撫でる。
降 谷はその行為に、びくっと驚きながらも愛おしそうに笑った。
「…降谷,先生呼ばなきゃ。」
「…」
「だから離して?」というと,彼はしぶしぶ私を離した。
私を離して改めて見た彼の顔。
目と鼻が腫 れていて,泣いた後の子供のようだった。
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「ありがとう」とナースコールを押そうとしたとき,彼にその手を止められる。
驚き顔を上げると,そばに彼の顔があった。
そのまま彼の顔は近づき,私の唇に彼の唇が触れた。
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彼の目は薄く開かれており,私を愛おしそうに見つめていた。
唇が少し,離れたと思ったら、
「…もう少し。」
噛みつくようにキスをされた。
口の中を彼の舌が動き続ける。
上顎の歯の裏をねろりと舐められ,お腹辺りがきゅうっと感じた。
舌と舌を絡めて,私の舌に吸い付く。
「っ…んんっ…」
生 理的な涙が出たあたりで,降 谷は口を離した。
降 谷は自身の唇に付いた唾液をぺろりと舐める。
そして私の頬にキスをした。
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「……家に帰ってから続きするからな。」
彼は不満そうにそう言った。
家に帰宅した次の日外出できないだろうことを覚悟して,私は頷いたのだった。
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祝!続編!
皆さま本当にありがとうございます…!
パート1の方…そろそろ900票いきそうですね…!
こちらの評価の方も宜しくお願いします!
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6286人がお気に入り
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美玲 - 面白いです!続き楽しみにしています! (2023年3月4日 19時) (レス) @page12 id: 9bc9fcf77d (このIDを非表示/違反報告)
なでぃあ - とても好きで読んでるんですけど、続きが気になりすぎます!お願いです!更新してください!! (2023年1月6日 21時) (レス) @page12 id: b7c646722c (このIDを非表示/違反報告)
心路 - たくさんお話が見たいです! (2022年12月11日 19時) (レス) @page12 id: a7da08970e (このIDを非表示/違反報告)
優 - 何回も読んでしまうほどお気に入りです!更新して欲しいです‼ (2022年10月18日 17時) (レス) @page12 id: fd925561bb (このIDを非表示/違反報告)
るるんぴ - 凄く好きです!!続きよかったら書いて欲しいです!!🙏 (2022年8月30日 9時) (レス) @page12 id: 5497c634d4 (このIDを非表示/違反報告)
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