拒否の理由 ページ9
Aは治まらない鼓動を必死に整えていた。
炭治郎とあんなはしたない事をしてしまったという背徳感が襲い、顔面を蒼白させる。
不思議そうに見上げる禰豆子に気付き、何とか平常心を装った。
禰豆子がいつからあそこにいたのかはわからない。
本当に声を聞くまでは気付かなかったのだ。
鬼狩りの剣士として、姉として
それ程に私も...
ー私も、夢中になってしまってたんだと思うー
率直に言えば、炭治郎との口吸いは気持ちが良かった。
初めて人とあんなに濃厚な口吸いをしたから、行為に酔いしれてしまったのか?それとも、
相手が炭治郎だったから....
先程までの行為を思い出して、再び顔に熱が集まってしまい廊下でうずくまってしまった。禰豆子が心配そうに顔を覗き見てくる。
「ウーー...」
「...ごめんね禰豆子、ごめん。」
兄ちゃんと姉ちゃんのあんな光景、きっと見たくなかっただろうに。
恋人じゃない上に、好きかもはっきりとわからない人と、あんな事を致してしまうだなんて。
例え相手が炭治郎だとしても...
私はとんだ痴女なのかもしれない
部屋に戻り、禰豆子が布団の上で戯れている光景を見ながら、2人分の水をとぽとぽと汲む。
グイッと冷たい水を喉に流し込めば、火照った体も少しは落ち着いた気がした。
「はぁー....禰豆子、ここにいる?姉さんは炭治郎の所に戻るけど」
そう問いかけると、禰豆子はむくりと起き上がりとてとてとAの元に駆け寄ってきた。どうやら自分も一緒に居ると言っているようだ。
本当に無邪気な様だ。鬼になって、精神面が幼くなってくれていたのだけは幸いした。それに、炭治郎の元に戻るにしても彼女が居てくれた方が安心する。
「わかった、一緒に戻ろう?」
Aは禰豆子を連れ再び元来た道を辿っていった。
部屋に戻ると、炭治郎は膝を丸めて障子に背を向けた状態で座っていた。A達が部屋に入ってきたのを見て、隣に禰豆子がいる事も確認すると、少し残念そうにしかめっ面をする。
やっぱりさっき無理やり放置して来た事が不服なのだろうか。
「...お待たせ炭治郎。はい、お水持って来たから飲んで?」
湯呑みを差し出しても、彼は大丈夫と言い受け取ろうとしなかった。
「昼間はあんなに水分欲してたのに、どうしたの?」
そう問うと、炭治郎はとんでもない殺し文句を呟いた。
「....A姉さんと口吸いしたばかりだから、飲みたくない」
137人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
八千代(プロフ) - あーちゃんさん» コメントありがとうございます!頑張って更新しますので宜しくお願いします(*´-`) (2020年6月9日 13時) (レス) id: 5c1b6b975d (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん - すごい面白いです!これからも頑張ってください(*´∀`) (2020年6月8日 20時) (レス) id: 20ef85385a (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - 果鈴さん» ありがとうございます(*´-`)!かしこまりました。無一郎が夢主を好きな理由については少し語らせていただきますので、少々お待ち下さいね。 (2020年6月4日 7時) (レス) id: 769605b6ca (このIDを非表示/違反報告)
果鈴(プロフ) - 初コメ失礼します!すっごい面白かったです!1つ思ったんですが、無一郎君が夢主を好きなのって、日寄さんの過去と同じようにしてるからですか?(語彙力無くてすみません) (2020年6月4日 6時) (レス) id: 71e0ecb3e1 (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - みかやしさん» コメントありがとうございます!いやいやそんな大そうな文は書けてません(汗)でも、嬉しいですありがとうございます(*´-`) 頑張って更新しますね! (2020年5月24日 7時) (レス) id: 769605b6ca (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:八千代 | 作成日時:2020年5月12日 19時