確信を得る ページ3
人形と格闘中もしばしば意識を飛ばしそうになっていた炭治郎だったが、その度に無一郎よりも強くなる事、そしてA姉さんが彼の方を選んで行ってしまう悪夢を思い描いた。
でもなかなか小鉄の言う動きが出来ず、飲食の機すら与えられないという
あれ?...これ、真面目に死ぬるんじゃないか...
今日も飯抜きという言葉の重みがのしかかった瞬間、何だか体がふわふわして、物凄い眠気が襲ってきた。
その時
A姉さんの匂いが鼻を掠め、柔らかい感触に体がぎゅうっと包まれた。現実味を帯びない朦朧とした意識では、ある錯覚を呼び起こす。
あぁ、俺は死んだのか?
だってここは天国なんじゃないか...と
「お願い小鉄君!少し休ませてあげてよ!」
涙ぐみながらそう懇願するA姉さんは、今の炭治郎にとっては命の恩人であり、救世主そのものであった。
彼も彼女のお願いとあっては否定出来なかったようで、ようやく炭治郎は5日ぶりのまともな水と食料にありつけたのだ。
A姉さんが密かに毎日持ち込んでいたという、冷えた玉露茶と温かい握り飯。
あまりの美味しさに感動してしまい、柄にもなくダーーと涙を零しながら必死に食らいつく。
そんな炭治郎を甘やかすように、彼女はおかわりを差し出そうとするが、小鉄に
うぅ...可愛い....
心臓がギュンと音を立てて悶え、思わず米を喉に詰まらせそうになった。
あぁ、本当にありがとうA姉さん。
貴女のお陰で命が繫りました。
ーーーーー
彼女の図らいで、ひとまず今日の訓練は夕方までで一区切りとされ、久々に宿で体を休めている。
衣食住があるってありがたいとしみじみ思う...
「具合はどう?炭治郎」
「っ!ありがとうA姉さん。お陰で復活したよ」
ぶんぶんと腕を振り健康アピールをすれば、彼女はほっとしたように笑みを溢した。
よっこらせと隣に腰掛けると、こう語り始めた。
「...頑張るのはいい事だけど、あまり焦らないで?炭治郎は炭治郎のペースで進むといいよ。無一郎君の事は、やっぱり気になるだろうけど」
少し瞳に陰りを見せたAを炭治郎は見逃しはしなかった。
「そりゃ気になるよ。でも、それは俺だけじゃない筈だ。A姉さん...時透君に告白されたよな?」
そう問えば、彼女はやはり動揺の匂いを放った。
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八千代(プロフ) - あーちゃんさん» コメントありがとうございます!頑張って更新しますので宜しくお願いします(*´-`) (2020年6月9日 13時) (レス) id: 5c1b6b975d (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん - すごい面白いです!これからも頑張ってください(*´∀`) (2020年6月8日 20時) (レス) id: 20ef85385a (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - 果鈴さん» ありがとうございます(*´-`)!かしこまりました。無一郎が夢主を好きな理由については少し語らせていただきますので、少々お待ち下さいね。 (2020年6月4日 7時) (レス) id: 769605b6ca (このIDを非表示/違反報告)
果鈴(プロフ) - 初コメ失礼します!すっごい面白かったです!1つ思ったんですが、無一郎君が夢主を好きなのって、日寄さんの過去と同じようにしてるからですか?(語彙力無くてすみません) (2020年6月4日 6時) (レス) id: 71e0ecb3e1 (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - みかやしさん» コメントありがとうございます!いやいやそんな大そうな文は書けてません(汗)でも、嬉しいですありがとうございます(*´-`) 頑張って更新しますね! (2020年5月24日 7時) (レス) id: 769605b6ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:八千代 | 作成日時:2020年5月12日 19時