日寄の過去〜side story弐〜 ページ20
父が激昂するのも無理はなく、今まで最も懇意にしていた継国家はあたかも一人息子である事を装い、巫一族と接してきたのだった。
星詠みの巫女を娶る。それはその一族にとってとても名誉高いものだった。
故に、高名な一族の長は競って名乗りをあげた。
武家として名高い継国家もその一つ。是非将来の日寄の伴侶にと推してきたのは、長男として育てられてきた継国巌勝という少年だったのに..
儀式でヒノカミ様が選んだのは、存在すら明かされていなかった、双子として産まれ忌み嫌われてきた弟の縁壱の方であったのだ。
ー星詠みの巫女と【太陽を宿す者】が結ばれた時、災いは消え、星の恵みが与えられんー
そう古くより言い伝えられてきた。この占いの儀で選ばれるのは、そういう殿方であるが故、この出来事は一族内で
ー噂によると、縁壱殿は言葉も未だに喋れないそうだ。ずっと母親と離れで暮らしているから、ろくに教育も受けていないだろうー
ー教養も剣術もからっきしでは、日寄様の旦那は務まるまいー
ーしかし...儀式で名が出たという事は、ヒノカミ様がお選びになったという事。神託に背くというのはいかがなものかー
バンっ!!
日寄は我慢ならず乱暴に障子を開きその場を去った。
もううんざりだった。
今まで日寄が我慢出来たのは、【これはヒノカミ様の教えでありご意志なのだ】そう思うようにしていたからだ。
けれどそれがどうだ。結局、自分達の思い通りといかない結果が出た途端にこれだ。大人達は身勝手だ。
日寄の気持ちなんてこれっぽっちも考えてくれない癖にっ!!!
気付けば日寄はある納戸の前で立ち尽くしていた。
大人の言う事も、神が言う事も、もう関係ない。
ー私の人生は、私自身がこの目で見てこの耳で聞いて、決めていくー
少女は意を決して戸を叩いた。
「いらっしゃるんでしょう縁壱様!この戸を開けてくださいな!」
しばらく間を置いて、ゆっくりと目の前の戸が横に引かれた。
中から顔を覗かせたのは、少女より数個歳下と思われるあどけない少年で、なるほど額に痣のようなものがありすぐに彼である事はわかった。
驚いた様子で日寄を見つめる少年に、日寄はこう発した。
「私は巫日寄と申します。そして、貴方の将来の妻とされた女です。でも..こんな神託当てにならないわ。だから」
ー貴方とお友達になりに来たのー
少女はにこりと微笑み少年に手を差し伸べた。
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八千代(プロフ) - あーちゃんさん» コメントありがとうございます!頑張って更新しますので宜しくお願いします(*´-`) (2020年6月9日 13時) (レス) id: 5c1b6b975d (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん - すごい面白いです!これからも頑張ってください(*´∀`) (2020年6月8日 20時) (レス) id: 20ef85385a (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - 果鈴さん» ありがとうございます(*´-`)!かしこまりました。無一郎が夢主を好きな理由については少し語らせていただきますので、少々お待ち下さいね。 (2020年6月4日 7時) (レス) id: 769605b6ca (このIDを非表示/違反報告)
果鈴(プロフ) - 初コメ失礼します!すっごい面白かったです!1つ思ったんですが、無一郎君が夢主を好きなのって、日寄さんの過去と同じようにしてるからですか?(語彙力無くてすみません) (2020年6月4日 6時) (レス) id: 71e0ecb3e1 (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - みかやしさん» コメントありがとうございます!いやいやそんな大そうな文は書けてません(汗)でも、嬉しいですありがとうございます(*´-`) 頑張って更新しますね! (2020年5月24日 7時) (レス) id: 769605b6ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:八千代 | 作成日時:2020年5月12日 19時