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とびきり綺麗な簪を ページ12

「そんなに嬉しいの?」


「え?」


「いや...日の呼吸を継ぐって事自体はとても誇らしい事だと思うけど、その...炭治郎添い遂げるって意味わかってる?」



ー結婚するって事だよ。一生夫婦として側で暮らしていくって意味だよ?ー



そう問いかけると、炭治郎はむすりと頬を膨らませた。


「わかってるよ。俺は..いつだってA姉さんの側に居たいんだ。それは今までも、これからもだ。支えてあげたいし守りたいんだよ。その資格があるかもって言われたら、そりゃ嬉しいに決まってるじゃないか。」


迷いのない真っ直ぐな眼でそう語る炭治郎。
ついドギマギしてしまい視線を逸らしそうになった所を止められる。



「俺を見て、A姉さん」


「っ....」


「今は気が早いってわかってる。俺はまだ15歳だし、力も不十分だ。でもいつか絶対に...貴女にとびきり綺麗な(かんざし)を贈るから」



ーだから、それまで覚悟しててくださいねー






炭治郎のその言葉は、とても深くAの心に突き刺さった。
いつしか私が誠一郎さんから簪を贈られたのを見て、禰豆子がはしゃいでいた光景を思い出す。



ーいいなぁー、私もいつか姉ちゃんみたいに大切にしてくれる殿方と出会って、こんな素敵な簪を贈られてみたいわ!ー



女の子の誰しもが憧れる、そんな告白....求婚。

今思えば、炭治郎はその頃から心に決めていたのかもしれない。
なんて健気な事だろうか。あの時まだ炭治郎は、齢9か10の頃だった。




「....はい」



Aはそう返すのが精一杯だったが、それでも炭治郎は満足そうに優しい笑みを浮かべた。






「そう言えば、日孁神社ってどういう所だったんだ?巫一族と縁があるなら、A姉さんの本当の家族の手掛かりとか、何か残ってないのかな?」



「うーん、もう何十年も手入れがされてなくて、建物もボロボロだったよ。中も色々見て回ったけど、何も残されてなかった。」



そうかと残念そうに項垂れる炭治郎。
自分の事のように思い詰める彼を見て、優しい子だなぁと、それだけで救われるような気持ちになった。



「ありがとう炭治郎。でもいいんだ。色々考えたけど、今は貴方達と一緒の時間が過ごせているし、少しずつ巫一族の事もわかってきてるから。前よりも私全然自分を保ててるよ。」



そうお礼を言ったら、安心したように彼は目を細めた。


「何か少しでも辛い事があったら俺に言ってくれ。A姉さんが心から笑った顔を、見てたいんだ」

鈴蘭への恋慕〜side story壱〜→←添い遂げる資格



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設定タグ:鬼滅の刃 , 竈門炭治郎 , 原作沿い   
作品ジャンル:アニメ
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八千代(プロフ) - あーちゃんさん» コメントありがとうございます!頑張って更新しますので宜しくお願いします(*´-`) (2020年6月9日 13時) (レス) id: 5c1b6b975d (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん - すごい面白いです!これからも頑張ってください(*´∀`) (2020年6月8日 20時) (レス) id: 20ef85385a (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - 果鈴さん» ありがとうございます(*´-`)!かしこまりました。無一郎が夢主を好きな理由については少し語らせていただきますので、少々お待ち下さいね。 (2020年6月4日 7時) (レス) id: 769605b6ca (このIDを非表示/違反報告)
果鈴(プロフ) - 初コメ失礼します!すっごい面白かったです!1つ思ったんですが、無一郎君が夢主を好きなのって、日寄さんの過去と同じようにしてるからですか?(語彙力無くてすみません) (2020年6月4日 6時) (レス) id: 71e0ecb3e1 (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - みかやしさん» コメントありがとうございます!いやいやそんな大そうな文は書けてません(汗)でも、嬉しいですありがとうございます(*´-`) 頑張って更新しますね! (2020年5月24日 7時) (レス) id: 769605b6ca (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:八千代 | 作成日時:2020年5月12日 19時

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