暫しの休息を ページ2
ー今日でもう5日目だ...ー
小鉄君と炭治郎には留守番しててくれと言われたけれど、Aはそわそわして居てもたってもいられず、彼等の特訓場所に今日も足を運ぶ。
スイッチの入った小鉄君の特訓内容は凄まじい。
課題が達成出来なければ【食べ物も飲み物も与えない】というのは、最初冗談かと思ったがどうやら本気だったようだ。
現に、日が経つにつれ炭治郎はヘロヘロになっていった。
Aは見ていられなくて、こっそり飲み物と握り飯を毎日持ち込んでいるけれど、与える隙は全くなくてもどかしい。
「駄目です炭治郎さん何回言えばわかるんですか!そんなんじゃあの糞ガキに勝つなんて夢のまた夢ですよ!」
「は、はい...!」
「A様が取られてもいいんですかー!?」
「っ!嫌ですッーーー!!」
Aの名前を出された途端、炭治郎はうがぁぁと雄叫びを上げて腕を振るう。
勿論、強くなりたいと言う気持ちが根底にあるのだろうが...
【私の事】に関して言えば、体に鞭を打ってまで、そこまでしてまでそんなに彼の中では重要な事だと言うのか。
炭治郎の想いは、つい先日本人の口から聞いたばかりだけれど...
ーそんなに、私が他の人の所に行ったら嫌なの?ー
そう思うと少し、ほんの少し胸がきゅっと切なくしぼまる気がした。
この気持ちは、単にやきもち焼きな様子が可愛らしいなと思う、年長者の純粋なる愛情なのだろうか?
それとも...
「今日も飯抜きですっ!」
っ!
小鉄が意気揚々とそう告げる。それを聞いて絶望の眼差しで項垂れる炭治郎。
血走った眼は不眠不休の現れ、カサカサに乾燥した唇とふっと意識を手放しそうになるふらふらな様は脱水症状と栄養失調に陥っているのが見て取れる。
本当に真面目に、このままでは死んでしまう。
あぁ、もう耐えられない。駄目だ。私...
「お願い小鉄君っ!少し休ませてあげてよ!」
ダッと駆け寄りひしと炭治郎を掻き抱く。
図らずとも、うるうると瞳を潤ませてそう懇願すれば、小鉄君はうっと息を詰まらせてたじろいだ。
「鍛錬も大事よ!炭治郎の事を思って協力してもらってるのもわかる。感謝してるけどっ...飲まず食わずはさすがに可哀想だわ」
長女気質の自分はとうとう我慢出来ずに飛び出してしまった。
Aの腕の中でぐったりしてる炭治郎を見て、小鉄は、仕方ないですねと唸った。
「A様に免じて、暫しの休息を許可しますよ、炭治郎さん」
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八千代(プロフ) - あーちゃんさん» コメントありがとうございます!頑張って更新しますので宜しくお願いします(*´-`) (2020年6月9日 13時) (レス) id: 5c1b6b975d (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん - すごい面白いです!これからも頑張ってください(*´∀`) (2020年6月8日 20時) (レス) id: 20ef85385a (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - 果鈴さん» ありがとうございます(*´-`)!かしこまりました。無一郎が夢主を好きな理由については少し語らせていただきますので、少々お待ち下さいね。 (2020年6月4日 7時) (レス) id: 769605b6ca (このIDを非表示/違反報告)
果鈴(プロフ) - 初コメ失礼します!すっごい面白かったです!1つ思ったんですが、無一郎君が夢主を好きなのって、日寄さんの過去と同じようにしてるからですか?(語彙力無くてすみません) (2020年6月4日 6時) (レス) id: 71e0ecb3e1 (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - みかやしさん» コメントありがとうございます!いやいやそんな大そうな文は書けてません(汗)でも、嬉しいですありがとうございます(*´-`) 頑張って更新しますね! (2020年5月24日 7時) (レス) id: 769605b6ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:八千代 | 作成日時:2020年5月12日 19時