◆第拾参章 小鉄少年の熱血指導 ページ1
気付けばあたりは夕立による雨が降り注いでいた。
小鉄は無惨な姿の絡繰人形に寄り添い、コキコキ動きを確かめるも、無一郎に破壊されてしまった肢体はピクリとも動かない。
「やっぱり駄目か..」
三人が諦めかけていたその時、ギュルっと歯車が回転し、なんと人形は息を吹き返したように五本の刀をジャキリと構えた。
「やった!動いたね小鉄君!良かった...」
小鉄の様子が先程とは打って変わってやけにしんとしているので、炭治郎もAもじっと彼の背を見つめる。
「小鉄君?..」
人形は動いたのに歓喜もしない。今彼は何を考えているのだろう?
その時一際大きな雷が落ちた。
びくりとAは肩を震わせぎゅっと目をつむる。
再び目を開くと、彼はゆっくりとこちらに顔を傾けた。
「炭治郎さん、これで修行して【あの澄ました顔の糞ガキ】よりも強くなってください」
ー全力で協力しますのでー
声変わりはまだしていない筈の彼が、恐ろしいほどどすの効いた声でそう発した。
修行に付き合ってくれるのはありがたい、ありがたいが...
今からかな?...
炭治郎は冷や汗を垂らした。
小鉄は無一郎に対する腹の虫が収まらないようで、ひたすらに罵っていたが不意にこう叫ぶ。
「A様の事も、あんな昆布頭になんか渡しちゃ駄目ですよ!!俺は、断然炭治郎さんの恋路を応援してますからね!」
「「っ!!」」
ぐっと拳を振り上げてそう鼓舞された炭治郎は、瞬時に顔を真っ赤に染め上げた。
いくら10歳の少年相手でも、あれだけ派手に彼女を巡って争っている姿を見れば、事情は一目瞭然だったようだ。
なんだか急に羞恥心がこみ上げてきた。あぁ...気まず過ぎて彼女の顔も見れない。
「がっ..頑張りますっ!!」
そう叫ぶのが今の炭治郎の精一杯だった。
ーーーーーーーーー
あれよといううちに戦闘訓練に突入した炭治郎と、指導係に転じた小鉄の姿を遠くから見守っていたAは、とんでもない状況になってしまったなと遠い目をする。
どうやら彼は元の性格はかなり熱血で、加えて毒舌という一面もあるようだ。
的確に炭治郎の弱点をついてるとこを見ると、素晴らしい分析能力の持ち主であると感心する。
まぁ展開はどうあれ、これも炭治郎にとってはいい修行になるのかもしれない。
いいなぁ、私も一緒に....
「全然駄目です!!俺の言ったことができるようになるまで食べ物あげませんから!!!」
あれ..?これ大丈夫かな?
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八千代(プロフ) - あーちゃんさん» コメントありがとうございます!頑張って更新しますので宜しくお願いします(*´-`) (2020年6月9日 13時) (レス) id: 5c1b6b975d (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん - すごい面白いです!これからも頑張ってください(*´∀`) (2020年6月8日 20時) (レス) id: 20ef85385a (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - 果鈴さん» ありがとうございます(*´-`)!かしこまりました。無一郎が夢主を好きな理由については少し語らせていただきますので、少々お待ち下さいね。 (2020年6月4日 7時) (レス) id: 769605b6ca (このIDを非表示/違反報告)
果鈴(プロフ) - 初コメ失礼します!すっごい面白かったです!1つ思ったんですが、無一郎君が夢主を好きなのって、日寄さんの過去と同じようにしてるからですか?(語彙力無くてすみません) (2020年6月4日 6時) (レス) id: 71e0ecb3e1 (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - みかやしさん» コメントありがとうございます!いやいやそんな大そうな文は書けてません(汗)でも、嬉しいですありがとうございます(*´-`) 頑張って更新しますね! (2020年5月24日 7時) (レス) id: 769605b6ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:八千代 | 作成日時:2020年5月12日 19時