空で出逢ったキミ。3

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玉森くんに髪を撫でられて気持ちいい。





美容院とかもそうだけど、人に髪を触られると心地いいのはどうしてだろう。





昔、お母さんに髪の毛結んでもらったりするの好きだったなぁ……


朝の忙しい時にお願いすると、たまに強引に引っ張られて痛かったりしたけど。



ふふっ、なんか思い出したら懐かしくなってきた……。






フライトの疲れもあってついウトウトし始めたら、ドライヤーのスイッチが切れて急に周りが静かになった。









「っ…あ、ありがとう！」



「いいえー」



「ドライヤー戻してくるね！」








手を伸ばしてコンセントを抜いて、玉森くんからドライヤーを受け取る。









「Aちゃん、今日何かあった？」



「え？」









渡されたドライヤーから手を離さない玉森くんが、私の目を真剣に見つめる。





その目があまりにも綺麗で、思わず吸い込まれそうになる。









「…な、ないよ…！どうして？」



「俺には言えないこと？」



「………」









玉森くんの少し寂しそうな顔。




子犬みたいな、母性本能をくすぐる表情。




……私の胸が締め付けられる。








「………」



「…ん、わかった。
言いたくないならいいよ。」



「っ、玉森くん…、」









ドライヤーを持ったままソファーから立ち上がって、リビングを出て行こうとした玉森くん。






……待って。




坂田さんとのことを玉森くんに話して、どう思われるのかがわからなくて怖い。





それに坂田さんに言われた一言。






“ 将来がある人なんだよね？ ”って。






玉森くんは芸能人。


天下のジャニーズ。






私と付き合うメリットは何？



私も、玉森くんとの付き合いを続けたとして、数年後どうなってるんだろう……。




別に結婚願望があるわけじゃない。




だけど、ある程度の年齢になって捨てられるのもそれはそれでキツいものがある。



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