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「…あっ、洗い物……!」
お風呂からリビングに戻ってきたAちゃんが、食べた後の食器を洗ってる俺のところに駆け寄ってきた。
「いいよ、洗い物くらい俺にもできるから。
むしろいつもありがとね。」
「…ごめん。疲れてるのに。」
「それはAちゃんも同じでしょ?」
「うーん……」
唇を尖らせて拗ねた顔してるAちゃん。
いつも思うけど、そういう表情を無意識にできるってある意味天性だなって。
きっとこういう顔にキュンとしてる男性は山ほどいると思う。
「髪、まだ濡れてるじゃん」
「…あ、うん。
ちょっと涼んでから乾かそうかなって。」
「あぁーそういうこと?
じゃあ、ドライヤー持ってきてよ。」
「え?」
「ここで乾かしたらいいじゃん。」
「ここで?いいの?」
「うん。そこにコンセントあるし!」
ソファーの脇を指差すと、振り返りコンセントのソケットを確認するAちゃん。
「…じゃあ、持ってこよ。」
ボソッと呟きながらリビングを出て行ったAちゃんの背中を見送る俺は濡れた手をタオルで拭いた。
……そういや今日も“あの格好”じゃない。
今はTシャツに短パン。
その短パンもTシャツにほとんど隠れてて、それはそれでイイ感じだけど。
ドライヤーを片手に戻ってきたAちゃん。
「ここ、座って?」
「ここ?どうして?」
「いいから」
ソファーに座った俺の前に座るように誘導する。
不思議そうな顔をしながらも俺の足の間に入って床に座ったAちゃん。
ドライヤーのスイッチを入れると温風を髪に当てる。
「っ…わっ!!
えっ!?玉森くんがやるの!?」
「ほーら、前向いて!」
他人の髪の毛なんて乾かしたことがないから、慣れない手つきでAちゃんの髪を撫でる。
同じシャンプーを使ってるはずなのに、不思議とAちゃんは違ういい匂いがするように感じるのはどうしてだろう。
「…Aちゃん、」
「………」
「今日、何かあった?」
「………えっ!?今何か言った?」
これは完全に俺のミス。
ドライヤーの音で聞こえないのに。
話しかけるタイミングではなかった。
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珠美(プロフ) - りょうこさん» りょうこさん≫コメントありがとうございます!励みになります(^^)これからも頑張りますので、よろしくお願い致します! (2021年7月5日 13時) (レス) id: 6cd37f4262 (このIDを非表示/違反報告)
りょうこ(プロフ) - 更新ありがとうございます。いつも楽しみにしています! (2021年7月5日 12時) (レス) id: c2325c836d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:珠美 | 作成日時:2021年6月30日 23時