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アラカルトも頼める少しお洒落なカフェに入った私たち。
入口のショーケースの中には美味しそうなケーキがたくさん並んでて、ついつい凝視してしまった。
「ケーキ食べてもいいよ?」
坂田さんの言葉に一瞬揺らいだ心。
疲れてるから体は甘いものを欲してる。
でも、ここで食べちゃったら話し出しにくくなる。
「…あ、いえ。
今日は飲み物だけにしておきます。」
「ん、わかった。」
坂田さんが軽く手を上げるとすぐに来てくれた店員さん。
ホットコーヒーとラテを頼んで、一瞬お互いに沈黙した。
「…どう?考えてくれた?」
「え?」
前置きとか、留学での思い出話があるのかと思ったら、あまりにもいきなりすぎる振りに心の準備が全然できてなかった。
こんなに唐突に答えを求められるんだ。
「……えっ、と…、」
「……?」
「私やっぱり仕事辞めたくないです……」
「うちの母親の言葉、ずっと気にしてたの?」
あの時は気にしてた。
坂田さんとの将来を真剣に考えた時期もあったから。
「仕事のことは俺から母親に話するよ。
Aちゃんが納得いくまで続けられるように。」
「…あ、あと、」
「……?」
仕事だけじゃない。
もっと大切なことがある。
坂田さんとはお付き合いできない重要な理由。
「実は今、お付き合いしてる人がいます。」
「…え?」
「ごめんなさい…!
坂田さんの気持ちは嬉しいんですけど、やっぱりお付き合いはできません。」
「………」
言うまでは苦しかった。
でも言ってしまったら思いのほか、すっきりして心が軽くなった。
「…ごめんなさい……」
「…そっか。」
やっぱり断るのも辛い。
胸が痛い。
「俺はAちゃんが幸せならいいんだ。」
「………」
……どんだけいい人なの。
本当に私にはもったいない。
ここまでいい人だと私も心から坂田さんの幸せを願える。
「そのお相手は、Aちゃんとの将来がある人なんだよね?」
「…え?」
「ずっと続く幸せなんだよね?」
坂田さんからの言葉に固まる私。
それは、どういう意味…?
というか、どうしてそんなこと聞くの…?
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珠美(プロフ) - りょうこさん» りょうこさん≫コメントありがとうございます!励みになります(^^)これからも頑張りますので、よろしくお願い致します! (2021年7月5日 13時) (レス) id: 6cd37f4262 (このIDを非表示/違反報告)
りょうこ(プロフ) - 更新ありがとうございます。いつも楽しみにしています! (2021年7月5日 12時) (レス) id: c2325c836d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:珠美 | 作成日時:2021年6月30日 23時