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「…あ、迎え来たっぽい。」
テレビを見てた玉森くんが、スマホの画面を見てソファーから立ち上がる。
「あ、もうそんな時間か…!
気をつけて行ってきてね!」
私はスーツケースの中を整理してる手を止めて、玉森くんを見送ろうと一緒にリビングを出た。
そのまま玄関に向かうと思うきや、寝室へと入っていった玉森くん。
「……?」
「これ、渡しとく!」
すぐに出てくるなり差し出された鍵に私は首を傾げた。
「玉森くん家の鍵…?」
「そう。Aちゃん持ってて!
明日とか帰ってきた時に使えるように!」
「え、いいの?」
「うん。だって俺の彼女じゃん。」
「っ…///」
“ 俺の彼女 ”
なんかまだ慣れない。
というか、自分のことなのに信じられない。
彼氏ができたって自覚もなければ、その彼氏が玉森くんだなんて感覚が全くない。
「じゃあ、俺行くね!」
「う、うん…!気を付けてね!」
「Aちゃんも!」
靴を履いて玄関のドアノブに手をかけた玉森くん。
一瞬動きを止めて、急に振り返ったと思ったらそのまま戻ってきてギュッと抱きしめられた。
「た、玉森くん…っ!?」
「今思った。
今日の夜いないんだよね。」
「え…?」
「はぁ〜……充電しとこ。」
寂しがり屋な女の子みたいな台詞を言われて、キュンとしつつも初めて見た甘えたな玉森くんに戸惑う私。
ぎゅーーっと力いっぱい抱きしめられて、息が…内臓が苦しい……!
「っ…た、玉森くんっ…苦し…!」
「あっ、ごめん…!
Aちゃん細くてまだ力加減が……」
パッと解放された体にやっと血が巡る感覚があって、こんなに苦しいまで熱い熱い抱擁をされたのも人生で初めてだった。
「…あっ、やばい!行かないと!
ミツ待たせてるんだった!」
最後はバタバタと玄関を出て行く玉森くんを私は手を振って見送る。
強く抱きしめられた感覚がまだ残ってて、手の中には託された玉森くん家の鍵。
無くしちゃいけない。
今は命よりも大事かもしれない。
リビングに戻ると、社員証やパスポートを入れた大事なもの専用ポーチにその鍵を入れた。
“ 俺の彼女じゃん ”
また、ふと思い出してる私。
なんだかんだ嬉しくて、ついつい口元が緩んでしまう。
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珠美(プロフ) - りょうこさん» りょうこさん≫コメントありがとうございます!励みになります(^^)これからも頑張りますので、よろしくお願い致します! (2021年7月5日 13時) (レス) id: 6cd37f4262 (このIDを非表示/違反報告)
りょうこ(プロフ) - 更新ありがとうございます。いつも楽しみにしています! (2021年7月5日 12時) (レス) id: c2325c836d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:珠美 | 作成日時:2021年6月30日 23時