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「…もしもし…っ
《Aちゃん!?大丈夫?》
電話に出ると、すぐに聞こえた玉森くんの声。
あまりに食い気味だから思わず言葉に詰まった。
《…あれ?Aちゃん?》
「っ…あ、ごめん…!
びっくりして……」
《あ、ごめん。
いや、エアコン壊れたって言ってたから。
こんな暑い日に大丈夫?》
「……全然大丈夫じゃない。暑くて死にそう。」
《そうだよね。暑さヤバいよね。
業者は?連絡した?》
「一昨日、管理会社に電話したら修理は来週だって。調子よくつく時もあったから、それまではもつかなって思ったんだけど……」
《来週?まだ先じゃん!》
“ まだ先 ”
そうなんだよ。まだ先なんだよ。
玉森くんの言葉にさらにがっくりと肩を落とす。
暑くてもう頭も回らない。
全身がベタベタしてて気持ち悪いし。
「…だから今日はもう漫喫に泊まろうと思って。
これから先のことはまたその後考える。」
《漫喫?なんで?》
「なんでって……、
同期はホノルル行っちゃってるし、うち実家遠いから空港まで通えないもん。」
電話して耳に当ててるスマホすら暑くて不快で、首に巻いたタオルで額の汗を拭いながらヨロヨロと立ち上がる。
《うち来ればいいじゃん》
「……えっ?」
頭が回ってないからかな。
聞き間違いかな。
ボーッとしながら玉森くんの言葉が遠くに聞こえた気がした。
《……おーい。聞いてる?》
「っ…あ、ごめん……
今、なんて言った?」
《だから、うち来ればいいじゃんって!
うちなら空港まで通えるでしょ?》
「………」
玉森くん家に泊まる?
また?
しかも今回は1週間も……。
「…えっ、いいの?」
《うん、俺はいいよ。》
「事務所的には…?」
《それは知らない(笑)
聞かないし、言わないし。》
「…っ、そうだよね……。」
《漫喫よりはうちの方がいいと思うけど?》
「そ、そりゃね!
いや、むしろホテルより贅沢!」
《ははっ、それは大袈裟でしょ!》
電話の向こうで玉森くんは笑ってるけど、全然大袈裟じゃないよ。
私なんかの身で、玉森くん家に1週間もいられるなんて……
人生で一番贅沢な時間かもしれない。
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珠美(プロフ) - りょうこさん» りょうこさん≫コメントありがとうございます!励みになります(^^)これからも頑張りますので、よろしくお願い致します! (2021年7月5日 13時) (レス) id: 6cd37f4262 (このIDを非表示/違反報告)
りょうこ(プロフ) - 更新ありがとうございます。いつも楽しみにしています! (2021年7月5日 12時) (レス) id: c2325c836d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:珠美 | 作成日時:2021年6月30日 23時