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「太輔くんって、もしかして割り切れないタイプだった？」
「いや、どうだろ…」
こんな状況が未だかつてなかったから、何て答えるのが正解なのかわからなくて、咄嗟に言葉が出てこない。
期待するだけ無駄なことはわかってた。
彼女には忘れられない人がいることも重々承知の上での行為だった。
それにしてもあまりにもサッパリしてるから、あの日のあの行為に少なからず感情があったのは俺だけだったんだと気付かされた。
「もう会わない方が良かったかな…？」
「えっ、あ、ごめん…！
全然そんなつもりじゃなくて…」
なんで俺が謝ってるのかもわからないし、この先がないなら会わない方がいいに決まってる。
なのにそれだけは避けたくて咄嗟に否定してた。
「そう、良かった！
じゃあこれからもご飯に行けるね！」
「…うん、そうだね」
�爛瓮畦Л�
俺にはその言葉が相応しいらしい。
いつか彼女が新しい恋をする時、それが自分であってくれたらこれ以上にない幸せなことだけど…
せめて彼女の元彼が結婚するその日にどうにかなっちゃわないように側で支えてあげたい。
こんなこと茜が知ったら「そういうのお人好しって言うんだよ」って呆れる顔が想像できる。
いいよ、お人好しでも。
どんな形であれ、彼女の近くにいられるなら手段は選ばない。
「あぁ〜お腹空いたなぁ」
「もう着くよ」
「今日車だからお酒はダメだね」
「あっ、そうだった。
でもAちゃんは気にせず飲んでいいからね？」
「ううん、私も今日は飲まないつもり！
お酒無しでちゃんと太輔くんと話したいから」
ほら。そういうところだよ。
一度覚悟を決めたって、また心が引き戻されるのは。
みんなそうやって、彼女から離れられなくなるんだ。
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作者名：珠美 | 作成日時：2021年9月15日 12時
