* ページ47
.
「俺さ、帰った方がいいよね?」
朝ご飯を食べて、洗い物をしてるAちゃんの後ろ姿に話しかける。
今日は土曜日。
仕事が暦通りのAちゃんにとっては貴重な休日。
「太輔くんもお休みでしょ?何しよっか?」
…え?俺と過ごしてくれるの?
これはつまり休日デート?
「…いいの?」
「太輔くんは予定ないの?」
ないです。全く、何も。
Aちゃんと過ごせるなら、それ以上に嬉しいオフはない。
「でも太輔くん病み上がりだからなぁ…」
「大丈夫だよ、もう」
ほら、上のシャツも返してもらったし。
熱もなければダルさもない。
「ねぇ、普段のデートってどうしてるの?」
「……?」
「ほら、他の人みたいに容易に外出られないでしょ?
彼女とどんなことしてデートするのかなぁって思って」
洗い物を終えたAちゃんが手を拭きながら振り返る。
そのまま俺が座るソファーの横に腰掛けて、「ねぇ?」って首を傾げて顔を覗き込まれた。
「あぁーなんだろう。
家で映画観たりご飯食べたりかな……」
「…なるほどねぇ」
「まぁたまには外食もするよ。
茜と飲みに行った時みたいな感じで」
「わっ、懐かしい!」って笑ってるAちゃん。
あの頃はまだ桜が咲いてた。
肌寒くて冷たい風が心地よく感じる季節だった。
今は梅雨も明けて嫌ってほどに蒸し暑い日が続いてる。
「何しよっかなぁ〜」
部屋着のショートパンツから伸びた脚を組んで、ソファーに寄りかかりながらスマホを手に取ったAちゃん。
あまりにも無防備で、そんな魅力的なモノを見るなと言う方が無理な話。
咳払いしながら用もないのに俺もスマホを手に取って平常心を保つ。
.
190人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:珠美 | 作成日時:2021年9月15日 12時