* ページ44
.
「……Aちゃん?」
クルッと体ごと振り向いたと思ったら、俺の腰に腕を回してギュッとしがみつく。
その行動があまりにも自然で、こんなキュンとすることされたら男なら誰だって離れられなくなる。
俺自身も心のどこかでこうなることを期待してたのかもしれない。
「あの日の太輔くんとの事は忘れないよ」
「…うん」
「太輔くんにとっては事故でもいい」
「そんなこと思ってないよ」
あまりにも弱々しい声に俺も背中に腕を回して抱きしめ返すと、こんなにも細くて小さかったっけ?と感じてしまうほど俺の中にすっぽり収まってて。
どうしようもなく愛しくて、このまま本能のままに抱いてしまいたいとさえ思う。
体調さえ良ければ、きっとまた、抱き合って朝を迎えてた。
「ごめんね…太輔くんの気持ち利用したりして…」
「いいよ、そんなことは。
俺が代わりでもいいって言ったんだから」
「…また優しい。たまには怒ってもいいんだよ?」
俺の腕の中で顔を上げて上目に見るその視線に、保ってた理性が一気に崩されて気持ちが暴走しそうになる。
こんな彼女を俺だったら絶対に傷付けない。
絶対に、絶対に、泣かせない。
必ず、幸せにできる。
根拠はないのに変な自信だけはあってー…
「…ごめん。ほんと好きだわ」
Aちゃんを抱きしめたまま、何か言いかけたその唇を塞ぐように俺の唇を重ねた。
柔らかくて温かいその唇に触れた途端、俺の中で張ってた糸がプツンと切れた気がして、Aちゃんの後頭部を支えながら髪を撫でて深いキスへと変わっていくー…
抵抗するどころか、俺の腰に回した腕でギュッと服を掴んで、時より洩らす甘い声に気分も高揚する。
お互いの気持ちを確かめるように、唇を何度も何度も重ねて‥‥
風邪ひいてることなんてすっかり忘れて、深くて熱いキスに全神経が集中した。
.
190人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:珠美 | 作成日時:2021年9月15日 12時