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ソファーで座ってたら、
「はい、お待たせ〜」
って湯気の立つおかゆが来た。
卵がとじてある上に刻んだネギが乗ってて、おかゆなのに彩りキレイな具材に思わず見入った。
「家にあった野菜とか入れてみたから一応栄養あるかな?」
「ありがとう」
「看病らしく、あーんってした方がいい?」
テーブルを挟んで向かい合うようにして座ったAちゃん。
俺をからかった冗談なことはわかってて、それでもドキドキして熱だけのせいじゃなく顔が熱くなっていく。
「ふふっ、動揺しすぎ!」
「っ…、」
「熱いから気を付けてね」
悪戯に微笑みながら立ち上がったAちゃんがまたキッチンの方へと戻っていく。
その姿を横目に「いただきます」と手を合わせてから、用意してくれたスプーンですくうとフーフーと息をかける。
「っ…!!はっ、はふい…!!」
「ちょっ…だから気を付けてって言ったのに…!」
笑いながらグラスに注ぎ途中の麦茶を差し出してくれた。
「んもう、大丈夫?火傷しちゃうよ?」なんて心配してくれて、こんなやり取りして俺らカップルみたいじゃん。
俺があの日どんだけ傷つけることをしたのかわかってて、それでも今は俺の前で笑ってくれてて。
「んっ!美味しい!」
「本当?良かった」
許してもらえるなら、もう一度向き合うチャンスをもらえるなら、俺は誠心誠意謝りたいと思ってる。
「Aちゃん、あのさ…」
「ん?」
「この間のことなんだけど…」
「…あっ、そうだ。風邪薬切らしてたんだった。
うちのやつ使用期限切れちゃってたから、ちょっと買ってくるね!」
「Aちゃん…!」
「ゆっくり食べてて?
あっ、麦茶は冷蔵庫に入ってるから勝手に開けていいからね!」
俺のこの先の言葉を悟ってこれ以上話を広げたくないのか、財布とスマホを持って玄関に向かっていって、そのまま「いってきまーす」という声と同時にバタンッとドアが閉まった。
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作者名:珠美 | 作成日時:2021年9月15日 12時