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ツアーの中日で今日は久々に早く帰れる日。
とりあえず買ったばかりの家電の設定でもしようかなって思ってタクシーに乗り込むとLINEの通知に気が付いた。
……サヤカだ。
そういや久々だな。サヤカから連絡来るのも。
特に乗り気はしないけどメッセージを開いて見ると、これから会いたいという内容。
正直なところ、またか…という気持ちが強くて。
Aちゃんがダメだったから元サヤに戻るとか、俺だってそんな単純じゃない。
終わったものは終わったんだ。
》今回は何?
》家の鍵を返そうと思って
》渡してたっけ?
》前に借りたやつ。ずっと持ってた
あぁー俺はなんて無用心なんだ。
今となっては別れ話の縺れにも発展しそうで、軽率に鍵なんて渡した自分の行為を心底後悔してる。
》15分くらいで着くから。近くで時間潰して待ってて
》私もこれから向かうね!
マンションの前で待ってるところを撮られたら困るから。
俺が着いた頃を見計らってポストに入れてもらえばいいかと考えてた。
気付けば画面を相当スクロールしなければAちゃんの名前が出てこないほどLINEのやり取りをしてなくて。
なんとなく開いて見るとトップ画は前と同じで、そんな些細な事にちょっとだけ安心してる。
『お客さん、この辺りでよろしいですか?』
「あっ、はい。交差点手前で止めてください」
タクシーに乗る時までは降ってた雨も気付けば止んでて、地面に出来た無数の水溜りを避けるようにしてマンションのエントランスまで歩いて行く。
梅雨の時期らしい湿った独特の匂いが鼻を掠めて、一時的に止んだ雨だということは予想できた。
スマホを手に取りサヤカに連絡しようとした時ー…
「太輔!お疲れ!!」
「っ…、!?」
ドンッと体に衝撃を受けて振り向けば、抱きつくようにして突っ込んできたサヤカが居て、
「ふふっ、びっくりした?」
「うん、まじでびっくりしたわ…」
今のこの場所がどんな状況なのかも忘れて素で驚く俺が居た。
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作者名:珠美 | 作成日時:2021年9月15日 12時