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朝晩は肌寒かった春先から梅雨に突入して、来る日も来る日もシトシト雨が続くこの季節に気分も盛り下がる。
来週には梅雨明けして暑い夏が到来するらしいけど、今日もあいにくの雨でセットした髪が若干言う事を聞かなくなってる。
Aちゃんからの連絡をただひたすら待ってた俺も、最近やっと少しずつではあるけどスマホの通知にいちいちドキドキしなくなってきた。というよりも、もう連絡は来ないものだと諦めがついたという方が正しいかもしれない。
今はツアーもあったりしていい意味で気も紛れてて、仕事に没頭してれば家には寝に帰るだけで余計なことを考えずに済む。
「同棲?玉が?」
「そう。ある程度したら本格的に広い家に引っ越そうかなぁと思ってるんだけどね。」
まじか。
メンバーの誰よりも他人と生活できないと思ってた玉が彼女と同棲とは驚きだわ。
ライブ本番前の楽屋で玉とそんな話になって「でもまぁ向こうは仕事でほとんど家に居ないんだよね〜」って相変わらず緩く笑ってる。
「ガヤさんは?
なんか千賀が見たって言ってたよ。ガヤさんの彼女」
「え?あ、あぁ…彼女じゃないけど」
「ーー?」
「やり逃げされた」
「ぶっ…!!!っ…ごほっ、えっ?なに?」
ちょうど飲み物を口にした玉が俺の言葉に吹き出して、近くにあったティッシュを箱から大量に抜き取って口元を拭ってる。
あっ、やり逃げっていう言葉は良くないよな。
でも事実だけを述べればその言葉が一番合ってるのは間違いない。
「ガヤさんが被害者ってこと?普通逆じゃない?」
「そう。…って、逆が普通なのもおかしいでしょ!」
「いや、一般論だよ?
男性が被害者って珍しくない?」
ゴホッゴホッとまだ咳き込んでる玉が不思議そうな顔してる。
「そんなマイナープレイだったの?」って冗談言いながら笑ってる玉に俺も思わず笑いが込み上げて全力で否定した。
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作者名:珠美 | 作成日時:2021年9月15日 12時