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《太ちゃん?生きてるー?》
新曲の振り付け合わせが終わって、みんなでスタジオを出た時にタイミングよく震えたスマホ。
茜からの着信に、画面に表示された茜の名前を久々に見た気がした。
そういや最近の俺はAちゃんばっかりだったなって幼馴染ながらに反省しつつ、しばらくぶりの思い出したかのような連絡に彼女から何か聞いたのかなって胸がザワつく。
《ちょっとー!
最近私のこと放置しすぎじゃない?》
彼女か!ってツッコミたくなる台詞を言いながら、スマホ越しに笑ってる茜が、
《聞いたよー!短い春だったねぇ》
って言葉を続けた。
案の定、俺が言う間でもなく全てを知ってるらしい。
「茜、悪い。これから帰るから。
家着いたらかけ直すわ!」
《あっ、そうなの?
それはごめん!じゃあ後ほどー!》
俺が通話終了のボタンをタップする前にすでに切れてた通話。
相変わらず切るの早ぇなって心の中で呟きながら画面を見つめてると、
「もしかしてAちゃん?」
って千賀が嬉しそうに俺の顔を覗き込む。
「いや、幼馴染」
「あぁーそれはつまりAちゃんの同期?」
よく覚えてんなって感心するほど千賀はやたら記憶力がいい。
あの日、人間関係についてはさらっと説明しただけなのに。
「ねぇ、またAちゃん来たりしないの?」
「…あぁ、うん。
てか、もう連絡とってない」
「えっ?!なんで?」
なんで?
……俺が聞きたい。
あの日ご飯に行って、その日にお礼のLINEをやり取りして以来、パタリと連絡が来なくなった。
数日待って一度だけ、
“ 次また会える日ある? ”
って送ったけど既読スルーされたまま。
それでもまた送れるほどの勇気は俺にはなかった。
「連絡ってどのくらい待つもの?」
「ん?どのくらいって?」
「こっちから疑問文で送った内容に対する返事だよ」
「あぁーどうだろ。
玉の彼女みたいな感じだったら1週間…いや、10日は待つかな」
玉の彼女……
あっ、そういやCAだっけ。
あれは確かに仕事が特殊だもんな。
不規則だから返事が多少遅れるのは理解できる。
「でも普通の子だったら3日待って来なければ脈なしなのかなって俺は思う」
……3日。
すでに5日経ってる。
脈なし。そうだよな。
だって元彼が好きなんだから。
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作者名:珠美 | 作成日時:2021年9月15日 12時