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「おはよ」
「…おはよ」
「どうよ、あのドレス」
「…どうって?」
「気に入った?」
月曜日の朝
一週間が始まることでただでさえ憂鬱なのに、朝からデリカシーのない巧見の発言に更に嫌気が差して睨みつけた。
「私には赤じゃなくて淡い色が似合うって言う意見があったんだけど」
デスクから立ち上がってコピー機に向かいながら呟く。
原本をセットして蓋を閉めた時、
「誰?それ言ったの」
珍しく低い声で返してきた巧見がコピー機に寄りかかりながら私の顔を覗き込む。
さっきまでおちゃらけてたくせに。
急に真剣な顔して。
むしろ怒ってるようにも見える。
「誰でしょう?」
「男だろ?」
「だったら何?不都合なことでもあるの?」
スタートボタンを押そうとしたらバンッと巧見の手で隠されて、「言えよ」って冷たく鋭い目つきで睨まれた。
「もう新しい男かよ」
「……」
「やっぱ何も変わってねぇな」
変わってない……
確かにそう。
私は変わってない。
そんなのわかりきってることだけど、巧見に言われると余計に腹が立つ。図星だから尚更。
「余計なお世話」
巧見の手を払い除けて、やっと押したスタートボタン。
「ーー…だろ」
動き出したコピー機のウィーンという機械音で聞こえなかった巧見の捨て台詞。
気にはなったけど、聞き返したところで良いことないのはわかってたからあえてスルーした。
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作者名:珠美 | 作成日時:2021年9月15日 12時