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「本当に送るだけ?」
「……」
「私が朝まで一緒に居たいって言っても?」
朝まで?
これにはさすがの俺も動揺した。
どうしたの?
いつも俺を試してからかう感じとは違ってる。
「正直なこと言っていい?」
「うん?」
「俺はまだ一緒に居たいから送らせてほしい」
「……」
「都合のいい男になってもいいから」
ただただ好きなんだ。
彼女が誰を想ってるのかもわかってるし、
彼女が求めてる相手が俺じゃないとしても、
俺は彼女が好きだから。
「だから、そういうところだって」
「……」
「優しすぎるの」
「え、あ…ごめん…」
彼女からの優しい忠告に思わず俯く。
「太輔くん」
「ーー?」
「ありがとう」
また切なく笑った彼女に俺は言葉が出てこない。
どうしてお礼を言われてるのかも、彼女がこれから何をしようとしてるのかも、俺にはわからなかった。
「…じゃあね。」
「Aちゃん、」
呼び止めたけど、手を振る彼女にこれ以上踏み込むことはできなくて、少しずつ遠くなるその背中をただ見送るしかなかった。
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作者名:珠美 | 作成日時:2021年9月15日 12時