32 Tside ページ33
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谷本は、ほぼ毎日俺に会いに来てくれた。
共働きの両親は、谷本を俺の友達と思っている。
友達…なのかな?
俺と谷本って、何なんだろ?
ただのクラスメイトなのかな?
考えれば考えるほど分からない。
知っているのは、お互いの名前と………うん、それだけ。
大した話もしてなかった俺たち。
「あら、菜々子ちゃん。」
母は午後からのパートに出ているから、午前中に俺の元へ来ては 沢山話しかけてくれる。
学校終わりにいつも谷本は俺を訪ねてくるから、今日は どうしたんだろう?
「こんにちは。今日は創立記念日で 休みだったので。」
あー、なるほどね(笑)
母と谷本は、最近高校はどうだとか 色んな話をしていて、それを隣で黙って聞いている俺。
いや、正確には聞こえてないだけ。
ついつい、「へぇ。」とか、「それでー?」とか会話に参加しちゃうけど、2人には何も聞こえてないんだよな…。
分かっちゃいるけど、超絶 虚しい。
「それじゃ、裕太をよろしくね。」
そう言って、病室を出る母。
「谷本、昨日ぶりだね〜。」
……はい、聞こえてませーん。
「今朝は何食べてきたの?」
………何とか言えよ〜。
何を話しかけても返事が返ってくる事はない。
自分の身体に戻ってみようかと思って夜中に試したけど、全然出来なかったし。
どうにかして 谷本に気づいて欲しいのに、物には触れられないし!!
「谷本〜、……大好き。」
聞こえてないのをいい事に、本人にはまだまだ面と向かって言えそうにない一言を呟く。
……///
何してんだ俺…///
ただただ、1人恥ずかしさに悶える浮遊霊の俺。
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このみ - 大人になった裕太 (2020年10月3日 19時) (レス) id: 25b3f023e7 (このIDを非表示/違反報告)
nanacoy1139(プロフ) - 黄色好きさん» 黄色好きさん、素敵なコメントありがとうございます…(^ ^)続編も考えておりますので、また良ければ是非お越し下さいね。 (2019年1月24日 7時) (レス) id: da866a5801 (このIDを非表示/違反報告)
黄色好き - 伝えたい想いは、何時でも伝えられるわけじゃないって事。それなら、今こそだからすぐにでも伝えたいなって。想いはありますよ。またいい話しでした。青春に戻ってみたい。 (2019年1月24日 1時) (レス) id: f0b607ac31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:nanaco | 作成日時:2019年1月22日 12時