31 Tside ページ32
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「裕太…っ!!ぅ…うぅ…っ」
女の人のすすり泣く声が聞こえる。
ここ…どこだ……?
ぼんやりとする意識の中で、必死に光を探す。
真っ暗な闇。
さすがに俺も怖いんだけど…(汗)
確か…俺、車に跳ねられたんだよな?
もしかして…死…?
なんて思っていると、パアッと眩しくなる。
「ぅわ…っ!!」
頭が割れそう…っ!!
死ぬ……って俺、死んでるんだっけ?
分かんねーわ…
そこでまた意識を手放した。
「玉森くん…おはよう。」
この声…谷本?
ゆっくり目を開くと、そこには谷本の姿があった。
だけど、谷本の目の前には 横たわり眠っている俺自身がいる。
…これって、幽体離脱?
え、じゃあ、俺、生きてるんじゃん!!
そう、喜んだのも束の間だった。
谷本の目から、涙が零れ落ちた。
「私、落ちなかったよ…?それに…同じクラスだったよ、私と玉森くん。また隣に名前が並んでたの…。」
涙を流すけど、表情は穏やかな笑顔。
「…玉森くん、早く目を覚まして。」
眠っている俺の手に、谷本の手が置かれた。
"俺と同じ学校、嬉しい?"
そう聞いた時、君は違うって言ったけど、
いま目の前で泣いている君を見て、
ああ、谷本も俺と同じじゃん…って思った。
不器用で、意地っ張り。
だけど、そんな君がとても 愛おしい。
俺の姿は谷本には見えていない。
手を伸ばして その髪に触れようとするけど、触れられない。
眠っている俺の手にに置かれた 谷本の手を、そっと両手で包み込んだ。
「谷本…俺、ここにいるよ?気付いてよ…。」
「…そろそろ帰るね。」
届いて欲しいのに、届かない。
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このみ - 大人になった裕太 (2020年10月3日 19時) (レス) id: 25b3f023e7 (このIDを非表示/違反報告)
nanacoy1139(プロフ) - 黄色好きさん» 黄色好きさん、素敵なコメントありがとうございます…(^ ^)続編も考えておりますので、また良ければ是非お越し下さいね。 (2019年1月24日 7時) (レス) id: da866a5801 (このIDを非表示/違反報告)
黄色好き - 伝えたい想いは、何時でも伝えられるわけじゃないって事。それなら、今こそだからすぐにでも伝えたいなって。想いはありますよ。またいい話しでした。青春に戻ってみたい。 (2019年1月24日 1時) (レス) id: f0b607ac31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:nanaco | 作成日時:2019年1月22日 12時