【都道府県擬人化企画】神様の戯れ。【企画小説】

ページ ページ5

「…確かに大半の神が姿を消しましたが、国民が信じて待っている限り、私達は存在出来るというものです。ずっと見ていました。
オリンピック、バブル、都市開発、外交。
…この土地だけではありません。皆で、この日本を見守って来たのですよ。嬉しかった。彼処まで凄惨な状態だった日本が、世界に認められる一大国になった。草木も生えないと言われた土地に草花を芽吹かせた。幾度震災が来ようとも、あの時のように皆で団結して復興に取り組んだ。
…やはり貴方方を信頼して良かった。心から嬉しく思います。ありがとう。」


にこやかな笑顔を浮かべたと思いきや一変、真面目な顔に戻り机の上の資料を拾い上げてパラパラとめくり始めた。

「しかし…少子高齢化、過疎過密、地域政策、環境問題。新時代を迎えると同時に新たな問題にも突き当たっているようですねぇ。…そこで皆様方にご提案なのですが、土地の声は、要りませんか」


土地の声、と国務大臣らが復唱するように呟く。
要は土地神自身の意見や思惑を直接聞くことで改善を図るべきでないか、という事だ。

もはや馬鹿馬鹿しいとか信憑性に欠けるとか言う輩は居なかった。理由は簡単だ。先程問い詰めた際に、彼は何もかもを分かっている事が知れてしまったからだ。
…特定秘密保護法や自衛隊で秘匿している情報でさえ、すぱりと言い当ててしまったのである。それに過去の資料と現代に残った土地神達によりその存在は立証されている。
信じざるを得なかった。

次ページ→←3話＊嵩画

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す