君への愛をダウンロード【浪川蓮助】

【13】噂 ページ18

浪川くんとデート。



　その言葉が頭の中をぐるぐるとまわり、授業にもあまり集中できなかった。



　お昼は別々に、というか私が凪沢くんと海図くんのお誘いを受けてそっちで食べたけど、やっぱり何かの拍子に浪川くんの事を考えてしまう。



　別に好きって訳じゃないの。こんな大胆すぎるシチュエーションに戸惑ってるだけなの。



　………とかなんとか自分に言い訳じみた事を言い聞かせながら、今日も図書室で浪川くんを待っている。



　途中、浪川くんがこちらに気付いて手を挙げた時はそれに応えるべきか迷った。



　ちょこっとだけ手を振ると、笑顔を見せた浪川くんを湾田くんが小突いた。



　ふふ、と微笑ましくて笑ってしまう。









　………………そんな時、私は誰かに肩を叩かれた。



　誰だろう、浪川くん達以外に知り合いはほとんどいないんだけど………振り向くと、そこにいたのは私の数少ない知り合いの一人だった。



凪沢「………よ」



　あれ？さっきまで練習してたと思ったのに。制服姿の凪沢くんはそれを察したように口を開いた。



凪沢「今日だけ、お前に聞きたいことがあるからサボッた」



　相変わらずといえばそうなんだけど、未だに慣れない淡々とした口調に恐怖すら感じながら尋ねた。



唐沢「…何？」



　凪沢くんは躊躇いの色も見せずに私の目をまっすぐ見つめた。その三迫眼は睨まれているような錯覚を覚える。









凪沢「………あんた、何者？」



唐沢「…………は？」



凪沢「あんたの噂を聞いたんだけどさ」



　きっと、怒っているわけではないんだろうけど………凪沢くんは少し様子が変だった。



凪沢「お前が、前は不良とつるんでたらしいって噂。本当かどうか聞きに来たんだ」



唐沢「………ちょっと、何の話？」



凪沢「お前の話だよ。………俺の友達がお前の事知ってたんだ。詳しく聞いてみたら不良とつるんでたって……」



　凪沢くんの表情に影が差した。そんな凪沢くんがちょっと愛らしく感じて、私は少し頭を撫でた。



唐沢「私が不良に見える？きっと人違いだよ」



　凪沢くんは怒ったように私の手を払ってから、ニッと笑った。



凪沢「だよな！心配して損した。でも下級生だからってナメんなよ。俺だって男だから」



唐沢「ごめん、ごめん」



　凪沢くんが笑って、私も笑った。



　凪沢くんは私が不良じゃないってわかって安心していた。………でも不良だなんて！噂って怖いなぁ。

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今日の海の男！

浪川「おい、そこのお前！…俺の彼女になれ！！」

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