真夏の夜は貴方を想う3【SS】完結 (ページ29)

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気のせい？ページ29

「それでは、第69回卒業式を始めます。」

校長先生の挨拶で式が始まった。

周りを見渡せば、
泣くのを堪えてる生徒や
もう既に泣き出してる生徒までいる。

…3年間って思い出が沢山あるんだろうな。

私は、たったの8ヶ月間しかこの学校にいなかったからこの学校に対する思い入れはそこまでない。

そう思いながら周りを見渡していると、

っ…。

端の方に立っている櫻井先生と目が合った気がした。

…気のせいかな。

そう思い、視線を舞台の上の教頭に戻す。

だけど、どうしても先生のことが気になって
もう一度視線をずらした。

「…。」

…なんだ
気のせいじゃん。

先生は私の方を見ていなかった。

それから3年の担任たちの長いスピーチが始まる。

そんなのは私の頭に入ってこなくて、
櫻井先生の方ばかりに気を取られてた。

…今日で私は先生の生徒じゃなくなるんだ。
きっと、もう卒業したら会えない。

会う理由なんてない。

私のこの学校での思い出のほとんどが
いつの間にか先生でいっぱいになってた。

私の、長い片思いは今日で終わりにしなきゃいけない。

そうやって、先生のことばかり考えているうちに
卒業式は終わった。