真夏の夜は貴方を想う3【SS】完結 (ページ23)

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お隣さんページ23

そして、今日はいよいよ受験当日。

「ふぁあー、ねみー。」

「…。」

私の隣で電車に揺られながら眠たそうに
単語帳をパラパラめくる二宮くん。

そう、私と二宮くんは志望校が同じ。

【明日、試験会場まで一緒に行こ。】

驚くことに、それは試験前日の夜に知った。

今まで二宮くんの進路なんて知らなかった。
聞いたとしてもプロゲーマーとしか言ってこなかったから私はそれを半分信じてたのに。

二宮君いわく、将来はゲーム会社でゲームソフトの開発をしたいらしくプログラミングの授業が学べる大学を目指していたらしい。

…ほんとちゃっかりしてるよね。

試験会場の門に着くと高校の先生が数人いた。

「っ…。」

その中には櫻井先生がいた。

あれから気まずくて先生のことを避けてる私は
先生の横を静かに通り過ぎる。

すると、

「山田。」

先生が私の名前を呼んだ。

え…

振り返ると、

「山田なら絶対大丈夫だから。
　頑張れ。」

「っ…。」

先生がそう言った。
久しぶりに先生が私の名前を呼ぶ。

私は耳が熱くなるのを隠すように
髪をかき上げるふりをして通りすぎる。

…どうしてそんな顔するの。

最後に見えた先生の顔は切なそうだった。