小さな幸せ 5

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鍵のかかってないうちのドアを
開けて叫べば



母「おかえりー」



いつも通りの母が
出迎えてくれて



母「いらっしゃい」



みっくんを快く迎えてくれる母に
ほっと胸をなでおろす




北「はじめまして、北山宏光です」



母「はじめまして、Aの母です。
実物の方がかっこいいわね、
後でサインもらえるかしら？」




そうだった、



うちの母はめちゃめちゃミーハーだ



私はその血を継いだんだった




北「もちろんです、笑
お母さんもお綺麗ですね」



母「あら〜、お上手。
さ、あがって？」



北「はい、お邪魔します
あ、これ良かったらどうぞ」



母「気つかわなくていいのに、
あら、どら焼き？
大好きなのよ、お茶いれるわね〜」






じーっ




……ん？ なんか視線を感じる




私「あ」




視線の先には、父



私達の様子を遠くからガン見してる




北「ん？あ、はじめまして……」




気づいたみっくんが挨拶しようとすると



ぷいって、部屋の奥に入っていく父




なにあの態度



あれはない！




私「ちょっと、お父さん！」



母「A、お茶いれるの手伝ってー
北山くんは、そっちね、
お父さんいるから、よろしくー」



私「いや、よろしくしない！」



母「大丈夫、大丈夫」



私「なにが、だいじょ……
ちょ、ちょっとー！！！」




苦笑いのみっくんを残し、



私の首根っこを掴み、台所に連れてく母




私「なにすんのよ、
みっくんかわいそうでしょ！
あんな態度のお父さんに話なんて
できないじゃない！」



母「大丈夫よー、お父さん
楽しみにしてたから♪」




どこが！



鼻歌歌ってる場合じゃないよ、お母さん！




母「あら、美味しそう〜」




お土産のどら焼きに上機嫌だし



どんだけ呑気なの？



私、気が気じゃないんですけど





お茶を持って、



ドアに近づき、聞き耳をたてる




シーン




だ、大丈夫か？




物音すらしない




父「お前みたいなやつに、娘はやらん」




は？



なんて言った？




北「いや、お父さん、そんな事おっしゃらずに」




食い下がるみっくん




やだ、



……なんか、泣けてくる





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