小さな幸せ 5

201 ページ39

.


娘さんをください？



みっくんが、娘さんをくださいって？



そんなドラマみたいなセリフを
うちの親に言うの？




北「俺、昼飯作ってるから
Aは親に電話しといて？」



私「う、うん」




まだ寝ころがったままの私に
ベットの脇に置いといた携帯を
渡して寝室を出てった




自分の親に電話するのに、
こんなに緊張することなんてない




〜♪♪ 〜♪♪♪




〃もしもし、A？
急にどうしたの？なんかあった？〃




電話に出たのは、お母さん




私「……あの……今日これから
行ってもいい？」



〃いいに決まってるでしょ？
なに改まって〃



私「みっ……か、彼がね、挨拶したいって」



〃あら、北山くんよね？
楽しみに待ってるわ〜〃




焦ってる私に反して、呑気な母




私「……お父さん……いるよね？」




呑気な母はおいといて、
私が気になってるのは堅物なお父さん




〃いるわよ、いきなり連れてきたら
びっくりするかもね〜
お母さんがうまく言っとくから〃



私「うん、ありがとう
夕方くらいには着くと思う」




母のうまく言っておくという言葉ほど
あてにならないものは、ない気がする



大丈夫かな



母の反応をみる限り



結婚の挨拶とは思ってなさそう



なのに、父にいきなり、娘さんをくださいは



ダメな気がする





私「みっくん」




鼻歌歌いながら、パスタの麺を
茹でてるみっくんに話しかける




北「ん、どした？
行っていいって？」



私「うん、それは大丈夫なんだけど……
ほんとに、娘さんをください
……する？」



北「するに決まってんだろ、
なに？嫌？」



私「ううん、違くて……お父さん
大丈夫かなって……」



北「おし、5分〜、
A、明太子ね」



私「……かるぼなーりゃ」



北「はい、だめー」



私「いやー！」



北「んははっ」




不安な気持ちを、いつもみっくんは
こうやって、なくしてくれる



どうでもいい事で
笑いあって



私の頭にポンって手をのせて
ニコッと微笑まれたら、



すべてうまくいくような、



そんな気がする





北「Aの父ちゃん、アイドル
嫌いなんだろ？
大丈夫、一緒に説得しよ？」



私「一緒に？」



北「うん、一緒に」

202→←200

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す