【名探偵コナン】もう一人の名探偵【劇場版限定】プロローグ

出会い　工藤新一篇 ページ39

『新一、だよね？』
「…」
『あら、違う？まあそりゃそうだよね…ちょっと見ない間にちびっこになってましたーってなんのシャレだって話だし』

少年の顔は、固まったままだ。

『…いや、でも…やっぱ新一のような気がするんだけど』
「な、なんで…」
『おう？どうした新一Jr.よ』

新一に似てはいるものの、その姿は高校生ではない――結果、Aは少年を〔新一Jr.〕と呼んだ。

「なんで、わかったんだ！？」
『ふぇ？』

少年は、少年らしからぬ口調でAに詰め寄り、肩を掴んでぐらぐらと揺すった。

「なんで、俺が工藤新一だってわかったんだよ！？」
『え、マジで新一なの！？うっそん何故そんな姿に』
「それも説明する！とにかく今は、なんで俺だとわかったか教えろ！」
『…空気感？』
「…はぁ？」
『こう、新一の空気をまとってたっていうか。あ、あと、手！手を握った感じが、新一と同じだった』
「な、んだそりゃ…」
『ま、新一のことなら何でもわかるんだってことで』

小さな新一は書斎のソファに座り込んだ。Aがその前に座り、博士がミニ新一の隣に腰を下ろす。

『で？なんで新一は小さくなったわけ？それに、博士とここへ来ている理由も』
「あぁ…それは…」

ミニ新一は、順を追って全てを話した。

蘭とトロピカルランドへいた時、事件に遭遇したこと。それを解決したこと、現場に遊園地とは不釣り合いな、黒ずくめの変な男がいたこと、夜も更けた頃、再度その男を見かけ、気になって跡をつけたこと、取引現場を目撃し、油断してもう1人の男に殴られ、薬を飲まされたこと。

そして、起きたら体が縮んでいたこと。

「着る服もねーし、蘭はほったらかしにしちまったから、とりあえず家に帰ってきたんだよ。博士を呼んでな」
『博士、よく納得したね』
「わしと新一しか知らんことを、つらつらと語ってくれたんでのォ…」
『なーる』

Aは、あることに気がついていた。それを話すべきだということも、わかっていた。

けれども、嘘を吐いていた罪悪感と、2人を危険に巻き込んでしまうことへの不安がAを迷わせていた。

「…A。オメーなんか隠してるな？」
『へ…な、なんでわかったの…』
「…Aのことなら何でもわかるっつーことだ」
『…ははっ、お互い、適わないみたいだね』

Aは、全てを話すことにした。

―――
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