それ一緒にやらせて下さい3

-ぐうの音も ページ10

.


深澤さんからの流れを受けて、各々が休憩に入る。

しかし、休憩どころではない頭の私は、KO-KIさんに助けを求めた。

『KO-KIさん、間奏のところ教えてもらっても良いですか？』

KO「間奏？良いけど休まなくて大丈夫？」

『大丈夫です』

KO-KIさんから教えてもらう体勢に入ろうとしたところで「いや、大丈夫ちゃうやろ」という声が近くで聞こえてきた。

向井「休憩大事やて昨日も言うたやろ？」

向井さんにそう言われ、昨日の今日だということもあり反論ができない。

せめてもの抵抗で『ぐう』と唸ると、向井さんから「ぐうの音も出るんかい！」と突っ込まれた。

佐久「おま、何だよそのツッコミ！」

向井さんが作る楽し気な雰囲気に釣られ、佐久間さんがこちらに来る。

向井「"ぐう"言うから」

佐久「なぜ "ぐう"？」

『話せば長い話になるので、辞めておきますね』

佐久「およ？そういう感じ？」

向井「まー、簡単に言うと"休憩しろ"いうことやね」

佐久「あーね」

KO「あ、そうだ。他のメンバーはいないけど、Aは明日も練習するから」

『本当ですか！？ありがとうございます！』

佐久「むっちゃ喜ぶやん」

KO「明日はここ使えないから、このスタジオね」

そう言って、KO-KIさんはスマホの画面を私に見せた。

画面に表示されているレッスンスタジオの場所を確認し、スケジュール帳に書き込む。

そして、再び向井さんに促され休憩に入った。


ーーーーーー

休憩が終わり、個人でも練習ができるようにと動画の撮影を始める。

しかし、練習を始めてから今の今まで、間違うことなく踊るということができていなかった私は、分割して撮影しているにも関わらず、失敗ばかりを繰り返していた。

事前に考えられていた振りであれば、振付師の人が踊る動画が準備されているのだろうが、振りは今考えられたものであるためそんなものはない。

今後のことを考えると、今自分達で動画を撮る他ないのだ。

30分かけて、どうにかイントロ〜サビを撮り終えたが、やはり間奏の部分で躓いていた。

渡辺「危ねッ」

移動中、渡辺さんとぶつかりそうになったところで、間一髪、上手く渡辺さんが避けてくれた。

渡辺「いい加減にしろよ！」

私のできなさから一向に終わりが見えず、痺れを切らした渡辺さんが声を荒げた。

『すみません』

渡辺さんが憤る理由が私にあることは自覚しているため、謝ることしかできない。



.

-これが当たり前→←-10人でのダンス練習

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す