green eyes ページ21
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「ええっ!じゃあ幼馴染ってこと?」
抜けるような青空に、おれの素っ頓狂な声が響いた。
「そう(笑)幼稚園からの腐れ縁」
誰もいなくなった屋上に足を投げ出して座って、長身の彼…相葉雅紀はニコリと笑う。
さっきまでの穏やかな雰囲気とは一変して、ラフで自然体な感じ。
「幼馴染が居るなんて知らなかった、なんでアナタずっと黙ってるのよ…?」
ダンゴムシみたいに丸まりながら、
セメントの地面に尖った石をこすりつけて、何かを描いている智のお尻を
ぱん、と強めに叩くと、
「だって聞かれなかったんだもん」
と、口をとがらせる。
ガリガリ、と音を立てて、薄くセメントが削れていく。
描いているのは人間の眼のようだ。それも片方だけ。
「コレ相葉ちゃんの眼」
「お?ほんと…?オレの眼こんなにきれいじゃないでしょ(笑)なんか光ってない?」
智が相葉くんを見るときの表情は、安心しきった子どものようだ。
幼稚園からといったら、もう10年以上の付き合いになるのか…それくらいの時を一緒に過ごせば、この智を手なずけることも可能かもしれない…
それにしてもよく相葉くんはウンザリせずに付き合ってきたな…この人と…
彼の温かな人柄のなせる業なんだろうか。
「きれいじゃん」
「え、…うわっ、大ちゃん」
智が、座っている相葉くんの上半身に飛びついて、黒目がちな目を覗き込んだ。
勢いあまって、押し倒す形になる。
「…緑、ホラ…みどりが見える…奥に」
うっとりとした表情で相葉くんの眼を覗く智。
感動に打ち震えたような表情になっていて、
あ、これは…”好きなもの”を見るときのカオだ、と瞬時に思った。
「智!待っ……」
引きはがそうとしたときには、もう遅くて
「…ちょ、大ちゃん、…!やめ……」
ぱく、と食むように相葉くんの眼に 唇をつけた智は
衝撃でぎゅっと閉じたそれの、縁どられた睫毛に 熟れた果実のような舌を這わせる
「あけて…」と乞うように言い、震えながら開かれた目の端を 大事そうに親指で撫で
同じところを
ちゅ…と軽く優しく吸い上げた。
「智!!」
俺は、相葉くんの上に乗ったその軽そうな身体を
ほとんど抱くようにして引きはがすと、
「智、ほらアレ、ひこうき!…ひこうき雲までついてるよ?行っちゃうよ?」
ちょうど真上の上空を飛んでいた飛行機を指差し、矢継ぎ早に言った。
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作者名:きんにく | 作成日時:2020年4月19日 0時