検索窓
今日:40 hit、昨日:7 hit、合計:65,780 hit

Loud(side O) ページ1

星が落ちるというのは、たいへんな出来事なのかもしれない。

【ああ落ち落ちてる今落ちてるよねえ!】
【先立つ不孝をアア】

しゅんと光って落ちていく星たちは、もう空とは根性の別れのはずなのに、アンパンマンにやられるときのバイキンマンみたいに、次回もケロっと登場しそうな 気軽な悲鳴を上げていた。

また、どこかで光るんだろうか。もう会えない気がするんだけど。


【まだ早いわい……まだまだ…】
【触るだけなら…まだ……いいけども…】

海は、ざぶざぶと入られるんじゃないかと思ったみたいだ。まだ夏じゃないし、そもそも今日は星を見に来たんだから、泳ぐわけないのにね。

自意識が過剰。調子に乗ってるから、無視をした。もちろん触ってもない。


【としゅ、としゅ、と、踏みしめてほしいの】
【ふ、み、し、め、て、ほしいの】

砂がそうやって鳴るのを初めて聴いた。
蜜みたいな甘い誘惑が可愛くて、どうにか「としゅ」という音を出して歩いてあげたかったけど、サラサラすぎて無理だった。
くしゃ、とか、ずん、という下品な音で歩いたし、寝転んでしまったから、もう嫌われたかもしれない。


【幕のようにだね、開いてみたんだね】
【特別だからね】
【もういいか?もう立ち込めるぞ】

雲は非常にかしこくて、星が落ちることを知っていた。
空を隠してしまわないように、その日はずっと、隅の方でおとなしく縮んでいたみたいだ。優しい。
まだもうちょっと、そうしていて…と願っておいた。


【習慣も週刊に、アハハ!】
【おおげさ、なのヨ】
【もりもりと行くね、】
【いやお前がな!】

あとのやつは、もう全然、どれが誰のか、分からない。



星が落ちるというのは、たいへんな出来事なのかもしれない。



その日はもう、ありえないほどたくさんの声が鳴っていた。

全員が好き勝手に喋って、おさまりがつかなくて、ざわざわという声の海に、溺れてしまいそうだった。

綺麗でうるさくて、広くて、愛しくて、眩しくないのにまぶしくて…

ぐわん、と胸のあたりがいっぱいになって、苦し紛れにカズを見たら

完璧な口の形で笑ってくれたので、ようやく息をするのを思い出せた。



【疫病神が。もう死んでくれ』



それが、人の声のようにも思えたけど

星の美しさに、既に押しつぶされそうで、ほかの音もわんわんとうるさかったので


首の苦しさが、人の手によるものだったと分かったのは

相葉ちゃんが、この世の終わりみたいな顔で覗き込んできたときだった。

grey(side O)→



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (105 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
116人がお気に入り

アイコン この作品を見ている人にオススメ

設定タグ:大野智 , 二宮和也 , 大宮
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

きんにく(プロフ) - くろしばさん» 温かいコメントをありがとうございます、他の作品のことも見てくださっているのですね・・・こちらこそ感謝が足りません。日々精進していきます!ありがとうしか言葉がでなくてすみません(笑) (2020年6月1日 22時) (レス) id: ef9ab81a93 (このIDを非表示/違反報告)
きんにく(プロフ) - ゆきのすけさん» 素敵なお言葉をいただけて嬉しいです!知識不足文章能力等、まだまだ課題はたくさんですが、そう言っていただけると救われます。一生懸命書きます!ありがとうございます。 (2020年6月1日 22時) (レス) id: ef9ab81a93 (このIDを非表示/違反報告)
くろしば(プロフ) - 唯一無二のストーリーはもちろん、その繊細な文章構成や選び抜かれた表現にはいつも驚きや優しさがあり、とても強く感情を揺さぶられます。この作品をはじめ、きんにくさんの作品に出会えたことに感謝するばかりです。微力ながら、これからも応援させていただきます。 (2020年6月1日 2時) (レス) id: a32bce887b (このIDを非表示/違反報告)
ゆきのすけ(プロフ) - 情景が、主人公の表情が、心情が、胸が痛むほど繊細に流れこんできました。考えること無く流れこんでくるそれはとても心地がいい筈なのに、その分強く心を揺さぶられました。この作品に出会えて良かった…有難う御座います。これからも、心より応援しております…! (2020年5月31日 20時) (レス) id: cfd9b5973a (このIDを非表示/違反報告)
ゆきのすけ(プロフ) - シリーズの一話を何の気なしに覗いてから、気付いたら狂ったようにこの作品だけを、求めて読んでいました。20年間生きてきて、占ツク以外でも沢山の本を読んで来ましたが、こんなにも引き込まれた物語は正直言って初めてです。 (2020年5月31日 20時) (レス) id: cfd9b5973a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:きんにく | 作成日時:2020年5月17日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。