ｰ１８(TH)ｰ ページ18
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コンビニでAさんの買い物を済ませてから、部屋の前まで歩く。
途中で何度か咳込んでいた彼女を見て、マスクもつけているし風邪をひいているのではと考える。
マンションの通路はひんやりとしているし、部屋に入った方がいいかもしれない。
Aさんは嫌かもしれないけど、「寒いし部屋に入ろう」と言えば、頷いてくれた。
俺の部屋に入り、2人でソファーに座る。
「…この間は、ごめん」
勝手な行動だったこと。
それを忘れてくれと言ったこと。
傷つけてしまったこと。
それらを伝えれば、俯いていたAさんが顔を上げた。
大きな瞳には零れそうなほど涙が溜まっている。
「私、あのとき……嬉しかったんです」
彼女が口にした "嬉しかった" という言葉を聞いて、どうして、と思う。
「忘れられるわけないじゃないですか……私は、テヒョンさんのこと＿＿＿」
＿＿＿＿好きなのに。
俺の目を見てそう言った彼女はぼろぼろと涙を零した。
小さな嗚咽が聞こえて、身体を震わせて袖で涙を拭う彼女を抱きしめる。
「…Aさん」
もう二度と間違えないから、俺にチャンスをくれませんか。
「好きです」
＊＊＊
しばらく腕の中にいた彼女が身
横を向いて咳き込むと、真っ赤になった目をこちらに向けた。
「この1週間、テヒョンさんのこと考えてたら全然寝れなくて……風邪もひいちゃって……」
風邪をひいたのが俺のせいだと知り申し訳なくなるが、1週間ずっと俺のことを考えていたのかと思うと……。
いや、これで喜んだらそれこそ最悪だ。
彼女には辛い思いをさせてしまったのだから。
「俺、バイト集中できなくて、パフェに中濃ソースかけようとしてた…」
「…ふふ、それ絶対美味しくないですよ」
少し笑ってくれた彼女を見て安心する。
バイトの話をしてマカロンのことを思い出し、鞄から出してAさんに渡すと表情が明るくなった。
「小さくて可愛い…もらっていいんですか？」
「余り物で申し訳ないけど…マカロン見たらAさん思い出して、あげようと思って」
ありがとうございます、と言ってぎゅっと抱きついてくるAさん。
今までそんな素振り見せなかったけど、意外と甘えん坊なのかもしれない。
時間も遅いしそろそろAさんを部屋に帰さないとな、と思ったけど…
「一緒に寝る？」
腕の中の彼女に聞くと、こくりと小さく頷いた。
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作者名：naguno | 作成日時：2020年10月4日 12時
