おとなりさん〈TH〉 (ページ1)

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「よし。こんなもんかな」

ダンボールの山がすっきり片付いて、私の新しい住処となる部屋を見渡す。

うん、いい感じ。

荷物だらけのときはどうなることかと思ったけど、こうして片付ければ1LDKのこのマンションはひとり暮らしには充分な広さだ。

最寄り駅とスーパーは徒歩圏内、コンビニはすぐ近く。何かあったときのための総合病院もバス1本で行ける距離と立地は良さげ。
新しめの建物で綺麗な割りに家賃はそんなに高くない。

実家から通っていた職場が遠かったので職場に近い所に引越した訳だが、なかなか良い物件に巡り会えたと思う。

コツコツ貯めていた貯金を使って買い揃えたナチュラルウッドの家具は白いフローリングによく馴染んでいて、お洒落な部屋にしたくてついつい買ってしまった壁の装飾品やベッドサイドの間接照明もいい味を出していた。

満足げに部屋をうろうろしているとぐぅぅ…と気の抜けた音がお腹から聞こえてくる。

時計を見れば、時刻は21時を過ぎたところ。

「あれ、もうこんな時間」

片付けに夢中になっていて、そう言えばお昼からまともにご飯を食べていなかったことを思い出した。
そりゃあお腹も空く訳だ。

実家に居た頃はご飯の時間になればお母さんに呼ばれていたから、ご飯を食べ忘れることなんてまず無かったな。

今日はもう時間も遅いのでコンビニで済ませることにして、お財布とエコバッグだけ持って家を出た。

冷蔵庫はすっからかんだから、明日スーパーに行って買い物しないとなぁ、なんて思いながら。

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