壁は友達 ページ19
さて。 皆は個人で戦うスポーツを体験した事があるだろうか。
例えば卓球。 例えば剣道。例えばテニス。
しかし、個人スポーツと言っておきながら、中にはダブルスというイレギュラーが存在する。
私だって、それを知っていたら、体育の選択競技でテニスを選ぶ事は無かっただろう。
……かといって、もう一つの選択肢である創作ダンスを選ぶ気にもなれないけど。
そもそも、シングルの対戦相手さえ見つけられない私に、ダブルスなんて不可能に近いのだ。
よって私は、体育の授業の間ずっと、これぞ真のシングル「壁打ち」を、ひたすらやっていた。
「…………」
二週間前から始まったテニスの授業。
それを全て壁打ちに費やしている私は、総壁打ち時間五時間を越えようとしていた。
おかげで、どれだけ速く跳ね返ってくるボールも、全て美しいフォームで打ち返せる。
少し回転をかけて変化球にしてみるけれど、それもきっちりと返せるようになってしまった。
ほら見ろ、例えひとりでも人はこんなに成長できるんだ。
今だって、完璧な変化球を完璧な姿勢で打ち返せ……
「「「キャーーッ！！」」」
「ッ！？」
殺人事件でもあったのかと思うほどの悲鳴に、私は驚きのあまりビクッと肩を揺らした。
「さすが花沢くん！ テニス部員に圧勝するなんて！」
「きゃー！ 輝気くんかっこいいー！」
「スポーツも出来るなんて、花沢くん素敵ー！」
あぁ、なるほど。 テルくんが試合で勝ったのか。 通りでこの歓声。
いつも通りイケメンスマイルを振り撒いているであろうテルくんを、一目くらいなら見てやろう。
そう思って私が振り返ろうとした時……
「へぼっ！？」
私が打ったボールが壁を跳ね返って、そのまま私の顔面へと思いっきりぶつかった。
「うぅ……痛い……」
激痛の走る顔面を手で触ると、ヌルッとした感触が指から伝わる。
え？ ヌルッ？
「だ、大丈夫！？ 本田さん！」
すると突然、驚いたような声をかけられた。
顔を上げると、城山すみれさんが心配そうに私に駆け寄ってきていた。
「鼻血出てるよ？ 大丈夫？」
「えっ、鼻血！？ ……うわっ！ 本当だ！」
顔から手を離すと、指には真っ赤な血が付着していた。
「私、先生呼んでくるね」
城山さんはテルくんに釘付けになっていた体育教師のもとへと駆け寄り、何やら事情を説明する。
……ていうか、こういうのって体育教師が一番に気付くべきじゃないの。
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オトナノジジョウ(プロフ) - ただのアニメ好き☆さん» 毎回素敵と言ってもらえるなんて……！ ありがとうございます！ ほんっとうに嬉しいです！ これからも頑張ります！ (2019年6月29日 12時) (
レス) id: aad4b6e5d2 (このIDを非表示/違反報告)
ただのアニメ好き☆(プロフ) - 更新されるお話が毎回毎回素敵で本当に読んでいて楽しいです！更新お疲れ様でした！無理をなさらずにまた更新頑張ってくださいね！ (2019年6月29日 10時) (レス) id: 4ee9350697 (このIDを非表示/違反報告)
オトナノジジョウ(プロフ) - 木の葉さん» こちらこそ、ありがとうございますー！ 嬉しいお言葉です！ もっとぼっちに優しい世界になるといいですね〜。 (2019年4月15日 7時) (レス) id: aad4b6e5d2 (このIDを非表示/違反報告)
木の葉 - ぼ、ぼっちに優しい…！！！！！ありがとうございますぅぅぅぅ(´Д⊂ヽしかもすっごく面白いです！これからも更新頑張ってください(*^^*) (2019年4月15日 6時) (レス) id: 927779d34a (このIDを非表示/違反報告)
オトナノジジョウ(プロフ) - ただのアニメ好き☆さん» ありがとうございます！ とっても励みになります！ おっしゃる通り、無理し過ぎず頑張っていこうと思います！ (2019年4月14日 12時) (レス) id: aad4b6e5d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：オトナノジジョウ | 作成日時：2019年4月10日 23時
