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「え!何それ!!」

ニカが出会ってから今までで
1番の大声を出す。



元彼に会った、って話をしたら
にぃとの喧嘩の話より食いつくニカは

「大丈夫!?嫌なことされてない!?」

すごく真剣な顔で。

「されてない。むしろ、こっちから嫌な態度取ってやった」

さすがにあの言い方はムカついたし。



元彼に会った時の状況を話したらだんだんニカの顔が
悲しいんだか怒ってるんだかよく分からない顔になってて

「………なんか、嫌」

にぃとの話をした時とは全然違うリアクション。



「何が?」

「『何が?』じゃないよ。元彼、Aちゃんが話した思い出の場所に来てるんだよ?日本に来たら京都とか浅草寺とかあるじゃん。絶対、Aちゃんの事意識してんじゃん」



ニカは本当に不満そう。
そして

「俺、知らなかったもん。Aちゃんがバスケやってたとか、好きな漫画とか。タマは知ってたのに」

って、あれ?そうだっけ?って事まで言い出す。



裕太くんが?

そういえば前はいろんな映画を一緒に見たし
バスケのシーンとかあった時に話したかもしれない。

漫画は宮っちとゲームした時に言ったかも。



「むしろ宮っちも知ってそう」

「は!?」



さらに声を張るニカはあからさまにむくれて

「俺、知らないもん」

ムスッとして言う。



あれ、なんかニカ可愛い。

妬いてるんだ。



「私もニカの好きな漫画あんまり知らないかも」

「じゃあ知って!」

っていろんな漫画のタイトルを言い出すから

「あはは!覚えらんないよ!!」

さすがに笑うとニカが真剣な顔をして。




「俺の事、ちゃんと知って。んで、Aちゃんの事、もっと教えて」



本気なトーンで言うから
ニカがこんなに真剣なら笑っちゃ駄目だな、と思って。



私も真顔になっちゃうと、ニカが慌てて

「あ、ごめん、なんかダサいね。ガチになるとか」

って焦って一生懸命笑ってるから。



ニカ、本当に私の事好きなんだ。

しかも、こんなにストレートに気持ちをぶつけてくれるニカが私もすごく好きだ、って思う。



「好き、ニカ」



ちゃんと言う。

ニカだけが、好きだよ。



「元彼には感謝してるの。元彼と別れて日本に来たから、ニカに会えたし」



元彼に会った感想を素直に伝えたらニカが嬉しそうに笑って私を抱き締めて

「A」

甘く呼ぶ。



「って、呼んでいい?これから」



自分から言って少し照れてる声のニカ。



嬉しくて

「うん。呼んで?高嗣」

私も返した。

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作者名:shizu | 作成日時:2023年9月20日 23時

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