カカオ72% Part 6 (ページ7)

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Aちゃんが泣き止むと
顔は涙でベチョベチョだし
俺もAちゃんと離れたくなくて一緒にお風呂に入る。

湯船に浸かるとポツリポツリとAちゃんが話し出して
ようやくAちゃんがミツに怒ってる理由を聞けた。

「なるほどねー」

全部聞いてから呟くと
Aちゃんもようやく話せたからなのか俺の反応が怖いのか
様子を伺う感じでこっちを見てるから

「ん」

ほっぺにかかってる濡れた髪を耳にかけて

「それは確かに悲しいかもね」

素直な感想を伝えたら
ホッとした顔でAちゃんが

「引かない？」

聞いてくるから

「理由聞いたらね、納得したよ」

答えるとAちゃんは困った顔で笑ってる。
自分でも自分のめんどくさい性格が嫌なのかもしれない。

確かに不思議だった。

最初にミツとモメた時も自分との夕飯の約束を他の人に取られたからだった。

結局、仕事でしかも当時は誰にも内緒の仕事だったから
ミツも適当に「仕事になった」とか言えば良かったのに。

ただ、Aちゃんに対して
夕飯を他の人を優先しただけでそこまで怒る？とも思った。

そして聞けば今回の喧嘩の理由も夕飯。
どんだけなの？と思ったら。

実はAちゃんには
昔からミツとの夕飯に拘る理由があった。

それならやっぱり

「それ、ミツにちゃんと言ったら？」

ミツ、絶対気にしてないよ。

でもAちゃんは

「嫌」

子供みたいにムスッとしてるその顔は可愛いけど。

さすがに不安になる。

今後Aちゃんに『約束だよ』とか言っちゃって自分が忘れたら
明日は我が身だ。

「え、俺、Aちゃんと何か約束しても忘れちゃうかも」

「いいよ、忘れても」

Aちゃんは目をパチパチさせて言うけど

「この話の流れで『大丈夫』って言えるわけなくない？」

ホント、ありえないよ。

でもAちゃんは

「大丈夫、ニカには我慢しないって決めた」

嬉しそうな顔で笑ってるけど。

「我慢しない、って言って我慢してたの誰？」

ほっぺを抓ると

「今度こそ、もうしない」

涙目で俺を見上げるAちゃん。

んー、この顔には弱い。

さらに

「ニカには甘える事にした」

って嬉しそうに笑って

「大好き、ニカ」

なんて言われたらイチコロ。

チョロいなー、と思いつつ

「次は無いよ？」

おでこをチョン、って小突くと

「うん、今度こそもうしない。ニカには甘える」

デレデレな顔で言われると
さすがに今度こそ、ホントかなって思う。