last wall 28 -side You- ページ6
ニカは私の気が済むまで私を抱き締めてくれた。
少しして
「ホント、甘え下手だよね。何でもない時はすぐ甘えるのに」
クスクス笑うニカは
「ありがと、来てくれて」
ギュッ、て抱き締めてくれるニカに
涙が止まらなくなる。
ホントだよね。
さっさと来れば良かった。
「ニカに、嫌われたくなかったの」
甘ったれで、自分からにぃに嫌われたのににぃと離れる勇気がなくて
毎回毎回喧嘩して拗ねて
また同じことしてるの?って呆れられるのが嫌だった。
でもニカは
「本当は、Aちゃん、ミツに何か言いたいけど言えない事があるんじゃないの?」
って言い出す。
「喧嘩しちゃったのはミツとの大切な『何か』があって、それにミツに気づいてほしいからこうなってる、とか」
ニカに言われてドキッとする。
何で分かったの?
にぃよりも先にニカに気づかれたのが
嬉しいのか悲しいのか感情がぐちゃぐちゃでニカにしがみついて泣く。
「あ、良かった。当たった」
無言を肯定と受け取ってホッとした声のニカは
「もー、どうしてこういつもいつもAちゃんは黙っちゃうかなー」
ポン、ポン、って一定のリズムで私を心地いい感じで撫でてくれて
「何度言っても甘えてくれないから、さすがに寂しいんだけど」
本当に悲しそうに呟く。
「ニカ、に、嫌われ、たく、ない、の」
泣きすぎてうまく喋れない。
なのにニカは笑って
「嫌うわけないじゃん。めんどくさいとこも大好きだよ」
なんて、有り得ないことまで言う。
「1番に来てくれるなら、ずっと好き。Aちゃんの1番が俺で居てくれるなら、俺の1番もずっとAちゃんだよ」
ギュッと抱き締めてくれるニカは
「Aちゃんの1番が自分か分からなくて聞けなかった。『大丈夫?』『寂しくない?』って。ごめん。早く言えば良かったね」
って、全然悪くないのに謝ってくる。
違うよ。
悪いのは私。
「ホントは、もっと、早く、会いたかった」
ギュッてして欲しかった。
ニカに聞いて欲しかった。
でもめんどくさい、って言われるのが怖かった。
やっと言えた。
「ごめんなさい…」
もう一度謝る私に
「もーいいよ。分かったから。泣けるだけ泣きな?」
優しいニカは頭を撫でてくれるからいよいよ涙が止まらない。
お言葉に甘えて泣きじゃくる私に
ニカは立ちっぱなしで大変だろうにずっと付き合ってくれて。
あぁ、私、もうニカには我慢しなくていいんだ、
って思えた。
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作者名:shizu | 作成日時:2023年9月20日 23時