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last wall 43 -side 2- ページ21

家に帰ってソッコーでAに電話する。

いまのAがいろんな感情でごちゃ混ぜになって
不安だったり、嫌だったり、悲しかったりしてるだろう、ってなった時に
LINEじゃなくてAの気持ちを受け止めたいって思ったから。

ミツと喧嘩中に気持ちを伝える事ができるのは
Aの友達のマキさんと、俺だけなはず。

しかもAは
偶然会えたわけじゃなくて何らかの形で会った元彼に警戒して
俺と会うのを止めようとしてる気もする。
自分が我慢すれば俺に迷惑がかからない、とか考えちゃいそう。

めちゃくちゃ寂しがり屋なのに。
甘えん坊なのに。

元彼に何を言われたか分からないけど
絶対、不安なはず。

俺と離れようとか考えてるなら
もしかしたら電話に出ないかもしれない。



でも電話をかけたら出てくれるAに

「良かったぁ、電話出てくれて。A、俺と距離置こうとするんじゃないかな、って思って」

って言うと黙ちゃう。



図星じゃん。

危なっ。



「ほーら、やっぱりー。させないからね、そんな事。俺は絶対、Aを裏切らないし離れないからねっ」



言うとズズって鼻をすするAは

『だって、高嗣に迷惑かかるもん……』

声を震わせて言うから泣いてるんだろう。



てことは、少なくともAが俺と離れようとしてても
それが嫌だって思ってる事が伝わるから

「離れちゃう方が迷惑かかるよ。俺、Aの事、Aが考えてる以上に好きだからね?」

俺がAを好きで離れたくないんだよ、って事を伝えたい。



『何でそんな事言うの……?』

「Aが好きだからじゃん」

『ばか……ッ、会いたくなっちゃうじゃん』

「うん、俺も会いたいもん」



Aには気持ちをちゃんと伝えないとすぐ我慢しちゃう。

きっと親の離婚でミツと離れた時から我慢癖がついてるんだよね。
自分が我慢すれば全部うまくいく、って。



でももうAには我慢してほしくない。
少なくとも俺の前では。



だからちゃんと気持ちを伝えたら

『っ、…高嗣に会いたいー………ッ』

言いながらめちゃくちゃ泣いちゃうAは
やっと本音を言えたのか

『ホントはね、すごく嫌。元彼に、またつけられたら、って思うし、元彼が国に帰っても誰かに頼んで居場所特定されたら、とか考えたらもう高嗣に会わない方が、って思ったけど……』

泣きながら言って



『高嗣に会えなくなるとか、やっぱり嫌……』



なんて言ってくれるから
今すぐ会って抱き締めたくなる。

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作者名:shizu | 作成日時:2023年9月20日 23時

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