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last wall 34 -side 2- ページ12

Aがうちに来て1週間。

絶対に3日目には帰っていたその壁を超えてからは
だんだんAが居るのが当たり前になる。

他人との生活なんて絶対無理と思ってたけどAなら大丈夫みたいで
マイペースに過ごしてても特に苦痛じゃないし
Aもあまり気を遣ってる様子は無い。



いや、気は遣ってるいないというより
なんせAは家で過ごすプロだ。
ミツに合わせる生活に慣れてるから
俺の生活リズムが狂わないように合わせてくれてるんだろう。



「高嗣ー、すだち買ったけど水割りに入れる?」

「んー、お願いー」



帰ってきてシャワーを浴びてるとシャワーの向こうから聞こえる声は

「はーい」

洗濯機を操作する音と重なって

「タオルは後で私のも一緒に洗うから置いといてねー」

言うと俺の返事を聞かずに遠ざかる足音。



ほら、俺の洗濯ルールに合わせてくれてて
めちゃくちゃ最高。



リビングに行くとテレビでちょうど俺たちの番組をやってて

「おかえりー。おつまみ適当でいい?」

「うん、お弁当食べてきてる」

「はーい」

返事しながらアテにカロリー低めなささみやピクルスを出してくれるAは

「高嗣、やっぱサイコパスだよねー。さっきの高嗣が考えたシナリオの発想、めちゃくちゃ怖い」

目線を俺が映ってるテレビに送りながら少し引いた感じで言う。



「え、ダメ?」

「怖いけどダメじゃないよ。確かにみんなに王道行かれてもねぇ」



俺の意図を分かってくれながらAが言ってくれたかと思ったら

「ただ、私なら3点かな」

なんて、10点が最高なのに3点しかくれないらしい。



「低っ」

「辛口評価でいいんだもんねー」



笑って言いながらテレビに目をやるAはミツが画面いっぱいに映ると
今度は泣きそうな顔になるから。



ミツに会いに行けばいいのに、と思うけど
それを出来ないAは拗ねた顔でこっちを見上げるし

「ん」

抱き締めて欲しいんだな、と思って腕を広げたらAはそのまま素直に飛び込む。



黙って頭を撫でてたらしばらくしてから

「高嗣、すごいね」

Aが言う。



「何が?」

「私がして欲しいこと分かってるんだもん」

「そりゃ分かるよ」



手に取るようにね。

それが愛しい。



でも



同じくらいかそれ以上に
Aがミツを求めてるのも分かるし

ミツの代わりに俺に甘えてくれてる訳じゃなくて 俺の事が大好きなのも分かるけど
『ミツが足りない』のが溢れてて何とかしたくなっちゃうんだ。

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作者名:shizu | 作成日時:2023年9月20日 23時

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