last wall 23 -side You- ページ1
にぃの家を出てからはホテル住まいだった。
仕事も出来るし
掃除しなくていいし。
人の家で過ごすならにぃの家かニカの家がいい。
だからホテルで過ごして
ご飯は一人暮らしなマキちゃんが早番の日は付き合ってくれていた。
スパもマキちゃんが早番で更に早く終わった日に
「ホテルの小さいお風呂嫌じゃない?」
って誘ってくれて
閉館ギリギリまでスパで過ごした。
スパで別れる時に
「そろそろお兄さんが恋しくない?」
マキちゃんが言うけど
「寂しくないよ」
口では言うけど顔は正直だったみたいでマキちゃんが
「顔には『寂しい』って出てるけどね」
爆笑する。
「彼氏にも会いたいんじゃないの?」
「彼氏は、会いたい。会いたいけど……」
言ったタイミングでマキちゃんのスマホが鳴って
少し離れてる時にスマホを見るとニカから返事が来てないかを確認する。
スマホのロック画面にはなんの通知も来てなくて。
だよね。
ニカ、ムカついたよね。
あれだけ困ったら頼れって言われてるのに
私、ニカに何も言ってないんだもん。
私がニカでも愛想尽かすよ。
勝手にしたら、って思う。
にぃと一緒。
泣きそうになった時に
「ねぇ、Aちゃん。いま店長から電話で、お店のガスが壊れてシャンプー出来なくて、店長が他の日に振替えるか支店を案内して、私、明日休みになったの。遠出しない?」
電話を終えたマキちゃんが言う。
お客様への連絡は店長がしてくれたー、なんてニコニコしてる。
遠出か。
気分転換にいいかもしれない。
「いいの?」
「うん。鎌倉食べ歩きとかどう?江ノ島も近いし!」
「鎌倉と江ノ島かぁ……」
小さい頃、にぃと行ったな。
懐かしい。
昔の婚約者とも行こう、って言ってて
結局行けずに終わってるから
「いいね、大人になってから行ったことないや」
「え!じゃあ行こうよ!!」
マキちゃんが嬉しそうで私もホッコリする。
ホテルに戻ると
ニカにフォローのLINEもにぃへのLINEも送らずに
ソファに寝転ぶ。
私、一体どうしたいんだろう?
どうなれば私は納得するんだろう?
ふと、LINEの通知音がする。
ニカ?
慌ててスマホを手にするとみやっちからで
俊哉明日久しぶりにオンラインゲームしようよ!
タマも早く終わるんだー
なんて来てる。
断りのLINEをしながら
ニカでもにぃでもなくて、残念、って思う私は相当性格が悪い。
こんな私だから、神様も罰を与えたんだと思う。
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作者名:shizu | 作成日時:2023年9月20日 23時