カカオ72% Part 5

カタチ。 26 -side You- ページ9

ボブ効果は抜群で。

リモートで打ち合わせするクライアントからも褒められたし
ご飯に誘われるようにもなった。

街を歩いてたらナンパされたり
八百屋のおじちゃんに

「おねーちゃん可愛いから玉ねぎ1個サービス」

ってサービスしてもらったり。



「全部マキちゃんのおかげ」

美容院ですっかり仲良くなって『マキちゃん』『Aちゃん』の関係になったマキちゃんに報告すると

「あはは、大袈裟だよー。Aちゃんの素材がいいんだよ」

マキちゃんは笑う。



すっかりマキちゃんのトリコになった私は2週間に1度トリートメントをしてもらってるし
服も見立ててもらうようになった。

「めちゃくちゃ貢いでて完全にマキさんがホストみたいだね」

その報告をしたら裕太くんは笑うけど
女性の知り合いが日本に来て初めてだったから
ものすごく新鮮だった。



にぃからしたら私に女の子の知り合いが出来たのが嬉しかったみたいで
マキちゃんのところに行くって言うと

「おー、どんどん行ってこい」

手土産まで持たせて送り出してくれる。



しかも仕事にも繋がって
美容院やショップの動画編集やホームページの仕事を引き受ける事になった。

結局なんだかんだ
毎週に近い形で顔を出すことになってる。



「それで？誰かと出かけたりしたの？モテて困ってる感じ？」

マキちゃんに聞かれて

「………誰とも出かけてない」

正直に答えた。



「え、勿体ない」

マキちゃんは言うけど。

「誰でもいいわけじゃないじゃん？出かけるのって。自分の時間なんだから、過ごしたい日とじゃなきゃ意味無いし」

自分で言ってて泣きそうになる。



結局私はニカとしか過ごしたくない。

他の誰でもない。
ニカだけだ。

妥協してにぃとなら過ごしてもいいけど
(にぃにこんな事言ったら怒るだろうけど)
例え外じゃなくて家の中だけだとしても
ニカとじゃなきゃ自分の時間を一緒に過ごしたくない。



髪を切って嫌われちゃってても
ニカがいい。

今は髪が伸びるまで
ニカには会いたくないけど。



「その人の事、ものすごく好きなんだね」

「うん、めっちゃくちゃ好き」

「あはは！Aちゃん可愛い！」



楽しそうに笑うマキちゃんは

「女の子なら会ってくれる？今度2人で女子会しよっ」

って自分を指しながら言う。

「うんっ！する！」

「じゃあ予定立てよ」

マキちゃんと遊ぶ約束をするために
スケジュールアプリを立ち上げて気づく。



ニカに最後に会ってから1ヶ月経っていた。

カタチ。 27 -side 2-→←カタチ。 25 -side T-

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す