カカオ72% Part 5

last wall 19 -side Ki- ページ47

Aと顔を合わせなくなって
2週間以上経っちゃった。

ほぼ家に居るAにはなかなか苦痛なはず。

なのに俺もAも謝らないとこが
お互いの頑固が出てる。



Aに出て行かれたら困るのに謝れない俺も俺だけど
ここまで避けるのに出て行かねーAの意味もわかんねー。



部屋を出ようとしたら
同時にAの部屋のドアも開いた。

あ、やっと顔見れると思った次の瞬間、
パタン、と扉が閉まった。



…………さすがに無くね？



「いい加減にしろよ。嫌なら出てけよ」



思わず呟いた。



それにしても自分でもびっくりするくらい低い声。

Aに聞こえてたら泣くんじゃねーか？



リビングでテレビを見始めたら少しして玄関のドアが閉じる音。



A、出かけたのか？
時計を見るともう22時。

まぁ、いい大人だし。
帰ってくるだろ。



でも次の日になってもAは居なくて。



ニカんちだろーな。

そう高を括ってニカにもAにも連絡しなくて
さらに帰って来なかったさらに次の日。



久しぶりにメンバー全員揃った時に

「あ！キタミツ！これAちゃんに渡しといてー！」

みやっちから
アニメのBluRayと漫画を渡される。



「あー……、いまA居ねーけど。ニカんちじゃね？」

「あ、そう？じゃあニカに渡すねー」



察してるみやっちがニカを振り返って

「ニカー、これAちゃんに渡してくれない？貸す約束してたんだー」

不思議なダンスみたいなのを踊るみやっちから声を掛けられたニカが振り返った時に
ニカは今まで見た事ない顔をしていた。



「……え？」



ニカのリアクションに嫌な予感がする。

みやっちも察して動きが止まる。



「Aちゃん、うちに居ないよ？」



ニカから紡がれる言葉に
背筋が凍る。

みやっちからも笑顔が消えた。



「え、いつから居ないの？」

ニカからの焦った様子の問いに

「2日前」

答える俺の声も焦ってくるけど。



「え、大丈夫なの？え、え、何？」



パニック寸前のみやっちにつられて
どんどん血の気が引いてくる。



あぁ、聞こえてたんだ。

『嫌なら出てけ』って言葉。



「ねぇ！タマ！！」

みやっちがタマに声を掛けると

「うちにも来てないよー。最後が4日前」

会話が聞こえてたのか察して淡々とタマが言って

「俺も最後に連絡したの3日前だけど」

ニカからも言われて
頭かグラグラするのを感じたタイミングで



「本番でーす！」



スタッフさんから声がかかった。

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