カカオ72% Part 5

last wall 17 -side 2- ページ45

今日は久しぶりに7人そろう仕事。
ミツが少し元気ない。

まさか、あれからずっとミツとAちゃんおかしいのかな。
2週間以上は経つのに。

ミツは俺を避けるでもなく近づくでもなくいつも通りだけど
さすがにおかしいな、って思う。

「ミツ？なんか元気なくない？」

「そーか？そんな事ねーぞ？」

笑って答えるミツは
普通の人には隠せるかもしれないけど
さすがに長年の付き合いだから隠してるの分かるし。



ただ、聞いても教えてくれないのも
長年の付き合いで分かる。




めちゃくちゃ長い打ち合わせを終えてうちに帰ると
ソファでAちゃんがクッションを抱えて寝てる。



あれ？今日来るって言ってたっけ？



ギューって形が変わるくらいクッションを抱えるAちゃんは
俺が近づく気配で気づいたくらいだから眠りは浅いのかな。

「おかえりー」

寝起きのぽやぽやした声が可愛い。

「ただいま」

思わず笑っちゃうと寝ぼけてるのかぼーっとしてるAちゃんは
俺を見上げながらクッションをどかして

「お仕事、お疲れ様」

ふにゃ、って笑うからさらに可愛い。



そのクッションが無くなったがら空きの胸元とふわふわの部屋着を見たら
なんかそこにくっついてみたくなって。

怒られるかな、と思いつつ吸い寄せられるようにAちゃんの胸元に顔を埋めた。

んッ、ってAちゃんの甘い声と
暖かい体温と
ふわふわの感触と
ふわっと香る柔軟剤の香り。

最高だった。



「ニカ？」

「あー、癒される」

驚くAちゃんを無視して呟いたら

「あはは、そう？」

Aちゃんは笑ってクッションの代わりに俺の頭を抱き抱えてくれる。




うわ、やば。
疲れ吹っ飛ぶし、襲っちゃいそう。

いや、それより眠っちゃうかも。

それくらい幸せだった。



なのに

「勝手に来てごめん」

Aちゃんが呟く。



勝手に？

あぁ、そっか。
今日来るって言ってなかったもんね。



「全然。いつ来ても良くなければ鍵渡さないよ？」

「そっか」

「うん、好きなだけ居なよ」



言いながら胸元をスリスリするように首を振ったら
めちゃくちゃ気持ち良くて。

「ふふっ、くすぐったいよ」

笑うAちゃんの声がめっちゃ甘くて

「じゃあずっと居ようかな」

頭を撫でてくれるAちゃんが嬉しそうなのは伝わるけど
結局、3日目には帰っていく。



何かあったのは分かるし
Aちゃんから話してくれのを待ちたい。

でも……



スマホを手にして電話をかけた。

last wall 18 -side M-→←last wall 16 -side You-

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す