カカオ72% Part 5

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「こんばんはー」

「いらっしゃい」



リビングで飲んでるとやって来たAちゃん。

顔を見ると
何だかいつもより元気ない気がする。



「どしたの？」

「ん？」

「なんか、元気なくない？」

「そうかな。元気だよ」



甘えるように抱きつくAちゃんはすぐ離れると

「あー、お腹すいたっ。ニカご飯食べた？」

「食べた」

「じゃあ、私、何か適当に作って食べていい？」

冷蔵庫を開けて俺を見上げるAちゃんが
やっぱりどこか元気がない気がして。



「おいで？」

呼ぶと

「元気だってば」

こっちを見ないで言うから分かりやすくて

「ほーら、早く」

手を広げたら少し迷ってからくっついてくる。



「どしたの？」

「んー…、なんか変なの。元気ない理由が自分でもよくわかんない」



言いながら甘えるようにくっつくAちゃんは

「人生、スランプみたい」

相当しょんぼりしてるみたいで無抵抗で。



「んー？なんかあったの？」

「うーん……」



言えない何かがあるのかな。
言いたいけど言えないって雰囲気を何となく感じたから

「いいよ、言いたくないなら聞かない。だけど、我慢してほしくないし、辛いならこーして抱っこするからちゃんと『抱っこして』って言いな？」

ぽんぽん、って背中をすると

「私、大人なんですけど」

言いながらAちゃんがクスクス笑ってるから
ホッとする。



「ありがとう、ニカ」

「あはは、これくらいならいつでも」



少しでもAちゃんの支えになりたいから。

顔をあげるAちゃんにすかさずチュッ、ってキスしたら
Aちゃんがめちゃくちゃ嬉しそうで

「ヤバ、ニカの不意打ちキスの破壊力がやばい」

真っ赤になってニコニコして
ギューって抱きついてくるAちゃんは

「私、頑張る」

「無理しないでよ？」

「うん。気持ちの整理出来たら、話聞いてね？」

楽しそうにゆらゆら揺れてどこか悲しそうに言うから。



本当に何かあったっぽい。
でも、話してくれるまで待とう。



甘えてくるAちゃんに便乗して俺もイチャついてたらスマホが鳴る。

Aちゃんが遠慮して離れるから申し訳ないけど
見るとミツからLINEで。

ミツそっちにAいる?



「Aちゃんが今日うちに来ることミツ知ってる？」

「ううん」



答えるAちゃんがこっちを見ないから
あ、おかしい理由コレかな、って思う。



だから

「そっか」

とだけ答えてミツには『いるよ』とだけ答えた。

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