カカオ72% Part 5

last wall 14 -side M- ページ42

「で？それから1週間？」

「おう。Aの顔見てねー」



今日は7人で仕事の前にキタミツと雑誌の仕事があって
早めに終わったから楽屋でケータリングのご飯を食べる。

最近どう？なんて話を振ったら少し黙るキタミツは
ボソボソと話し出す。

ムスッとしてるキタミツは
同じ家に住むAちゃんと1週間顔を合わせてないらしい。



きっかけは夕飯の事らしいけど

「LINEすれはいいじゃん」

「ヤだよ。何て言っていいか分かんねーし」

あんまり自分が悪いとは思ってないみたい。



「それにしても、すごいねー。家に居て会わないって」

「ンなもん、帰るの遅くしてるからさぁ」

「はぁー、そんなもんかね」



でも、何となく分かる。

Aちゃんもキタミツも頑固っぽいから
どっちも折れなさそう。



「たださ」

そこで言葉を区切るキタミツは

「A、家の事、ちゃんとやってんの。掃除や洗濯、夕飯って程じゃないけど何か食べるものは絶対作っくれてんの」

ってさすがに罪悪感感じてる顔をしてて。



「え、じゃあそれどうしてるの？」

「………食ってない」

「えぇー………」



それはさすがにAちゃんが可愛そうだし

「食わない分は次の日にAが食ってるんだろうけど。作るモンは勝手にしろ、をそのままやってだろーな」

って言うキタミツは
顔を逸らしてお弁当を食べてるから本当は酷い事を言ったこと反省してるっぽい。



「さっさと謝ればいいのに」

「……だって別に悪いことしてなくね？朝イチで夕飯の事決めらんなくね？」

「まぁそうだけどさぁー」



謝るように言ってもブツブツ言うキタミツは
完全に謝りそびれて
今更どうしたらいいのか分かんないんだろうね。

自分の方がお兄ちゃんだし。



なんかもう

「可愛いね、キタミツ」

「は？」

怪訝そうな顔をしてるキタミツだけど。



「やほー」「おつかれー」「はよー」



タマと千ちゃんとニカが来て
何となく会話が止まる。

そして分かりやすくキタミツはニカから離れるから
何となくAちゃんの話を避けたいのかな、って思う。



ただ、Aちゃんの性格上
ニカにキタミツと喧嘩してるなんて話すかな？

案の定ニカがやたら距離をとるキタミツに

「ミツ、なんかあった？」

不思議そうに俺に聞いてくる。



ほら、やっぱり知らないじゃん。



「さぁ？よく分かんないけど」

「ふぅーん？」

不思議そうなニカに何も言えなくて。



ごめん、ニカ。


そっとため息をついた。

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